北米

2025.04.28 12:30

米企業の5分の2が「LGBTQへの支援」を縮小、トランプ政権からの圧力で

Shutterstock.com

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米国では、6月はLGBTQなどの性的マイノリティの権利を祝う「プライド月間」と位置づけられており、毎年多くの企業が連帯の意思を示す広告を展開する。しかし、調査企業Gravity Researchによると、2025年は約5分の2の企業がプライド月間に向けた支援を縮小する予定だという。また、全米にある複数の性的マイノリティ団体が、企業のスポンサーシップが減少していると報告している。

調査対象となったフォーチュン1000企業のうちの49人の幹部が、トランプ政権からのプレッシャーを理由にプライド支援を縮小すると回答した。トランプ大統領は、連邦政府のDEI(多様性、公正性、包括性)プログラムを終了させ、トランスジェンダーコミュニティを標的にする大統領令に署名している。

Gravity Researchのルーク・ハーティグ社長はフォーブスに対して、この調査結果が「米国の文化的、政治的な潮流がいかに劇的に変わったか」を明らかにするもので、「企業の約5分の2がプライド月間への関与を縮小するという事態は、5年前には考えられなかったことだ」と語った。その一方で、彼はまた「多くの企業が社内の支援を維持しており、イベントや職場での取り組みを通じて性的マイノリティの社員や支援者をサポートし続けている」とも述べている。

Gravity Researchはまた、プライド月間に関する反発に直面するリスクは、法人向けのビジネスを行う企業(BtoB企業)よりも、一般消費者向けのビジネスを行う企業(BtoC企業)の間でより高まっていると述べている。

米国最大級のプライド団体のいくつかは、今年に入り企業スポンサーからの財政支援が減少したと述べている。アルコール飲料大手のアンハイザー・ブッシュは、トランスジェンダーであるインフルエンサーとのパートナーシップをめぐって2023年に保守派の反発を受けたが、性的マイノリティ団体「セントルイスプライド」によると、同社は30年以上続いてきたスポンサー支援の打ち切りを通達してきたという。

また、「サンフランシスコプライド」の主催者によると、アンハイザー・ブッシュをはじめ以前、スポンサーだったコムキャストやアルコール飲料メーカーのディアジオなどが今年の同団体への支援を辞退したという。同団体は、これにより約20万ドル(約2870万円)のスポンサー収入を失ったと述べている。

米国ではここ数年、LGBTQを支援する企業に対する保守派からの反発が相次いでいる。特に注目を集めたのは、アンハイザー・ブッシュの看板商品「バドライト」で、同ブランドは、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルバニーとの提携をきっかけに保守派によるボイコットに直面し、米国でナンバーワンのビールブランドの座を失った。

ナイキも反発に直面

ほかにも、2023年にマルバニーと提携したナイキや、トランス女性向けの水着を販売していたことで非難を浴びた量販店のターゲットなどが、オンラインでの攻撃やボイコットの対象となった。

ターゲットは、反発を受けて一部のプライド関連の商品を店頭から撤去した。しかし、同社はその後、DEI基準を後退させたことで、左派からのボイコットの標的となった。調査企業Retail Brewによると、ターゲットの店舗来客数は、DEI基準を後退させた翌週から11週連続で前年割れとなっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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