「ウィンザー効果」のウィンザーとは、アメリカ生まれの作家アーリーン・ロマノネスの小説『伯爵夫人はスパイ』(講談社)の作中に出てくる、ウィンザー伯爵夫人のセリフ「第三者の誉め言葉がどんなときにも一番効果があるのよ、忘れないでね」から取られています。まさにセリフどおりですね。
特に、第三者に当事者との利害関係がない(と思われる)ほど、そして第三者に親近感を覚えているほど、信ぴょう性が高まると言われています。
この効果をそのまま活用しているのが、いわゆる「インフルエンサー」です。
自分がフォローしている(=好意や興味を持っている)インフルエンサーは、より身近に感じる第三者です。そのインフルエンサーが何かをおすすめすると、影響を受けてしまうのは言うまでもないでしょう。
もしそのインフルエンサーに知名度や人気があった場合は、さらに「ハロー効果」が働き、より影響力が強まります。「ハロー効果」は評価する対象が持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴の評価が歪められる心理現象です。インフルエンサーの評価が高ければ、その発言までもが、真偽も検討されないままに正しいとされるのです。
もっとも最近は、この仕組みを悪用したいわゆる「ステルスマーケティング」が問題になっています。インフルエンサーが影響力を悪用して人々に商品を買わせ、こっそり裏で報酬を受け取っている……といった商法は許されなくなってきています。
私たちが「口コミ」を信じてしまう理由
インターネットでのマーケティングがメインとなっている昨今、「ウィンザー効果」という名前を知らなくても、知らず知らずのうちにこのバイアスを利用している企業は多いと思います。
今やネット上では、ほぼすべての商品やサービス、店舗に対する「お客様の声」や「レビュー」を見ることができます。本当にユーザーの声なのか、もしくはいわゆるサクラのコメントなのか怪しいものもあります。実際にユーザーの声であっても、良い意見だけを掲載している可能性もあります。それでも私たちは、選ぶかどうかの決め手にしてしまいますよね。
売り手側の「これは良い商品です!」「すごくおいしいです!」という宣伝文句の裏には、より多くの利益を得たいという思惑があると誰もが気づきます。しかし、第三者の立場からの意見には利益が関わらないため、信用されやすいからです。テレビ番組で、その町のタクシー運転手さんにおいしいお店を教えてもらうというものがありますが、あれも同じ理屈ですね。
こうしたユーザーによる「口コミ」の数が増えると、「バンドワゴン効果」(多くの人が持っているものだと、もともと興味がなかったとしても欲しくなる現象)が働きます。多くの人が注目する人気商品だと考え、自分も乗り遅れないようにしなければと、慌てて買ったりしてしまうのです。


