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2025.04.29 10:00

トランプ関税によるインフレリスクで一時中断、1300億円規模の競馬場改修プロジェクト

Thomas Kelley / Shutterstock.com

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チャーチル・ダウンズがわずか2か月前に発表した、4年にわたる大型プロジェクトが、経済的な不確実性と目玉レースのチケット販売における意外な「慎重姿勢」により、すでに中断されている。

約1300億円規模、4年間に及ぶ大型改修プロジェクト

ケンタッキーダービー競馬場の親会社であるチャーチル・ダウンズは、9億2000万ドル(約1321億8000万円)規模の4年間の改修プロジェクトを一時中断している。同社CEOのウィリアム・カースタンジェンは米国時間4月24日の決算発表で投資家に対し一時中断の理由を「トランプ大統領の関税が原因で、多くの資材において予想外かつ現時点では定量化できないコスト増加が生じているほか、経済の不確実性と重大なインフレリスクが高まっているためです」と説明している。

このプロジェクトは、同社が2月の前回四半期決算報告で初めて発表したものだが、カースタンジェンはウォール街のアナリストに対し「あの決算発表から9週間の間に世界は大きく変化し、経済の不確実性やインフレリスクが一段と高まりました」と述べている。

ケンタッキー州ルイビルに拠点を置く同社は、第1四半期決算の好調な結果(前年同期比で純収益が9%増)を発表する一方で、この一時中断を明らかにした。

マッコーリー・キャピタルでゲーミング、宿泊、劇場部門を担当するシニアアナリストであるチャド・ベイノンは、「ダービーは彼らにとって最大の資産であり、株価が今の水準にある状況で株主資本を誤ったタイミングで使うことは避けたいのでしょう」とForbesに語った。

チャーチル・ダウンズの株価は決算発表以来16%下落し、年初来では33%の下落となっている。

チャーチル・ダウンズ社は2月下旬の決算発表において、総額ほぼ10億ドル(約1436億7000万円)規模の4年計画を公表していた。そこには、競馬場施設「スカイテラス」の解体と再建、プレミアムチケット保有者向けの新しい常設場内施設の建設、一般入場者向けアメニティの拡充が含まれていた。

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翻訳=酒匂寛

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