中断がどれほど続くかは現時点では未定
しかし、カースタンジェンは投資家に対し「ドナルド・トランプ大統領の関税が、ほとんどの資材に対し、予想外で現時点では正確に見積もれないほどのコスト上昇を生じさせています」と説明している。その結果、同社は計画を一時停止し「状況が落ち着いてからでないと、このプロジェクトの恒久的なコスト変化や全体的な経済環境の変化を十分に評価できない」との方針を示した。
会社幹部がウォール街のアナリストに対して、今回の停止期間について「四半期単位かもしれませんし、数四半期にわたるかもしれません」と述べたと、ベイノンは伝えている。ベイノンは「いずれにせよ、同社は非常に慎重ですが、このプロジェクトは最終的に必ず実施されるでしょう」と述べている。
2億1070万ドル(約302億7000万円)。 これは2024年のケンタッキーダービー当日のレースに投じられた過去最高の賭け金であり、同日におけるチャーチル・ダウンズのレース全体への総賭け金3億2050万ドル(約460億5000万円)の約3分の2を占める。
「イベントチケット販売のサブ産業全体の前年比成長率は、4月2日から4月19日の間におよそ10パーセントポイント減速しています。これは、消費者がこの高額で、非常に裁量的な支出分野において少なくとも当面は財布の紐を締めていることを示唆しています」と、コンシューマー・エッジの副社長でインサイト責任者であるマイケル・ガンサーはForbesに語った。同社はクレジットカードやデビットカードのデータを分析し、Ticketmaster(チケットマスター)やStubHub(スタブハブ)、SeatGeek(シートギーク)、Axs(AXS)、Front Gate(フロントゲート)などを含むプラットフォームでのチケット販売を追跡している。「4月2日の予想以上の関税発表以降、成長率が低下している点は注目に値します。経済の不確実性が続くなかで支出に圧力がかかり続けているのです」。
従来どおり観客を集められるのか
可処分所得が減少傾向にあるなかで、ダービーが従来どおりの多数の観客を集められるかどうかは未知数だ。カースタンジェンは投資家に対し「2025年は、これまでの年に見られたような、底なしの需要がある状況とはいきませんでした。そのため少々打撃を受けています」と述べ、特に低価格帯のチケットに「慎重な姿勢」が見られると指摘している。ただし「低価格帯」といっても1000ドル(約14万4000円)を超えるチケットで、決して安くはない。ベイノンは投資家向けのメモで「今年のケンタッキーダービーについて、チャーチル・ダウンズの経営陣はEBITDA(利払い・税金・償却前利益)が昨年比でほぼ横ばいになると見込んでいます。とはいえ、2024年はケンタッキーダービーだけでもEBITDAが3000万ドル(約43億1000万円)増加していました」と書いている。