2. 安定を失うことを恐れている
多くの男性にとって、離婚は精神的な動揺だけでなく、将来に対する大きな不安をもたらすものだ。金銭面での不安や孤独感、慣れ親しんだ日常生活の崩壊が不確実性への恐怖を煽る。やり直すことを考えると気が遠くなり、長期にわたって結婚生活に注いできたものを放棄するという「サンクコスト効果」の心理がそれに拍車を掛ける。
調査によってこの精神的な緊張が浮き彫りにされている。専門誌『Aging & Mental Health(エイジング・アンド・メンタルヘルス)』に2024年に掲載された研究によると、年配になってから離婚した人は自由と孤独を同時に経験することが多いのだという。不幸な結婚生活から解放され、抑えられていた欲望を追求する機会を得たと語る人がいる一方で、孤独と闘っている人もいる。
だが男性の離婚後の姿勢は女性のものとは異なる。専門誌『Sociological Inquiry(ソシオロジカル・インクワイアリー)』に2018年に掲載された研究では、男性は再婚を望む傾向が強いことが明らかになったが、これは世話してもらったり誰かと一緒にいるために絶えず結婚に依存していることを反映している。対照的に女性は世話をする負担が増えることを恐れて結婚に消極的だ。
総じてこれらの調査結果は矛盾を浮き彫りにしている。男性は不安定な状態に陥ることを恐れて満たされない結婚生活にとどまるかもしれないが、同時に精神的に結婚に依存してもいるのだ。離婚して安堵するとしても、配偶者が欲しいという願望は続く。このことは、多くの男性にとって結婚が心を平穏に保つための主な拠り所であることを示唆している。
3. 感情を抑える習慣がついている
多くの男性は、自分の弱さを表に出す方法や、感情面のニーズが満たされていないことを認識する方法すら教えられていないため、不満を常態化させてしまう。感情を抑えると、やがては男性は不幸を「人生の一部」として受け入れるようになる。
専門誌『Journal of Social and Personal Relationships(ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・パーソナル・リレーションシップス)』に2015年に掲載された研究によると、夫が感情を抑えると、特に結婚初期においては夫婦関係の満足度が下がることが示唆されている。不満が大きくなるにつれて、双方の感情をコントロールする方法が変わり、気持ちが切り離された状態になることが多い。
時が経つにつれ、こうした関係の変化は閉塞感を生み出す。大きな不満を感じているにもかかわらず、自分のニーズを口に出すことを拒んだり、結果を恐れたりして離婚に踏み切れない男性もいる。従来の概念を持っている人は離婚を失敗、あるいは弱さとみなして満たされない結婚生活に一層縛られるかもしれない。


