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2025.04.29 18:00

結婚生活に不満、それでも男性が女性よりも離婚を切り出さないわけは 心理学者が解説

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1. 子どもに責任を感じる

多くの男性にとって、結婚を続けることを選ぶのは必ずしもパートナーへの愛からではなく、むしろ子どもに対する強い責任感からだ。たとえ夫婦関係に満たされなくなっていても、別れることは家族、特に子どもたちを見捨てることになると感じているのかもしれない。

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専門誌『Journal of Social Welfare and Family Law(ジャーナル・オブ・ソーシャルウェルウェア・アンド・ファミリーロー)』に2021年に掲載された、子どものいる離婚した男性の「家庭」に対する考えを探る研究では、多くの男性が家庭を単なる物理的な空間としてではなく、感情や夫婦関係、日常生活、周囲の環境の組み合わせだと説明している。家庭サービスをし、精神的に頼れる環境を作ろうと努めたにもかかわらず、喪失感や不安を経験することが多かった。

子どもたちは父親の家を必ずしも「主な」家として見ておらず、母親の家を「本当の家」と思っていることが多かった。このような認識から、一部の父親は自分の親としての取り組みが十分に認識されていない、あるいは評価されていないのではないかと感じていた。子どもが家にいない時、家の中は空虚に感じられることが多く、そのため子どもが在宅する時だけ家庭が本当に存在するように感じられた。

自分の存在が認識されていない、あるいは二の次になっているという思いを抱えるこのような現実は、多くの既婚男性が言葉にしないながらも抱えているものだ。そのため、結婚生活がうまくいかなくなっても、感情的なつながりや個人的な満足感より、義務感や罪悪感、社会の期待に促される形で結婚生活を続けることを選ぶ。

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翻訳=溝口慈子

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