その結果、たいがいは一番上の段に並んでいる商品の中から選んだり、「おすすめ」とか「ベストセラー」などのマークが付いているもの、コメントが多くて評価が高いものを選択したりします。
スーパーのチラシでは、冬の食材を売るために「鍋」のビジュアルと、用いる食材を並べているケースがあります。そこで見せる鍋を4種類程度に絞ることで、チラシを見た顧客は献立を考えやすくなり、スーパー側は鍋の食材を顧客に購入させやすくなるのです。
私たち消費者は、自分で考えたり選んだりしようとすると「決定麻痺」で先送りをしたり、「決断疲れ」で時間がかかり、結局買わないといった結果になりがちです。
こうした結果を避けるために企業は、売りたい商品をどのように「おすすめ」するか考えているのです。
商談などでクライアントに商品やサービスを提案する場合も、このテクニックをうまく使えば、相手をこちらの思惑どおりに誘導することができるかもしれません。
【相手に決断させるコツ】
・多すぎない(3〜5個程度の)選択肢から選べるようにする
・選ばせたい「おすすめプラン」や「基本セット」などを他より目立つ形にして提示する
また、プラスαとして、「人気No.1」「お客様に一番選ばれています」といった補足情報を用意しておくと、「バンドワゴン効果」(多くの人が持っているものだと、もともと興味がなかったとしても欲しくなる現象)も働くので、顧客を誘導しやすくなるでしょう。
疲労と時間をコントロールするコツ
「決定麻痺」や「決断疲れ」に陥らず、満足度が高い買い物をするためにはどうすればよいでしょうか。そのために役立つアイデアをいくつか紹介します。
大きな方向性は2つです。
・「決断疲れ」を防ぐコツを取り入れる➡基準や優先順位を決めておく
・決断するタイミングを見直す➡疲れている時間帯を避ける
多数の選択肢やオプションがある場合、自分が物を選ぶときの選択基準や優先順位を明確にしておくことが大切です。
例えば、旅行で宿泊先を選ぶ場合。あらかじめ「この宿がいい!」と決まっていればスムーズですが、そうでなければ、多くの候補の中から決めることになりますよね。予算の上限、最寄り駅や空港からの距離、洋室か和室か、アメニティの種類など、条件の中で外せないものの優先順位を付けておき、上からツリーのように選択していくと、スムーズに求めている情報にたどり着けます。
すべての条件をクリアする商品がない場合でも、何を妥協し、どう方針転換するかを判断しやすくなるでしょう。
ショッピングサイトで買い物をする場合なら、ただキーワードを並べるだけでなく、ソート(条件を絞り込み並べ替える)機能をうまく活用することもポイントです。


