音楽

2025.05.09 10:15

「才能を殺さないために」SKY-HIがエンタメ産業に突きつけたアンサー

SKY-HI|BMSG 代表取締役CEO

もちろんこれが彼の目指す最終到達点ではない。視線の先にあるのはグローバルだ。BE:FIRST は4月22日のロサンゼルスを皮切りに、アジア、ヨーロッパ、北米の9つの国と地域、全15都市を回る初のワールドツアーを行う。

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「日本の芸能界は自分も経験があるから、地図をつくるための道筋は描くことができました。一方海外は、いちアーティストとしてはかかわりがあったけど、組織として日本から世界に羽ばたいていった例は少なく、自分たちで道筋を見つけないといけない。今から2年でゼロから実らせたい。今回のツアーはその第一歩かな」

BMSGが世界に打って出るうえで強く意識していることがある。それは日本のエンタメを本来の姿に立ち戻らせることだ。

「日本のアニメは世界にアニメファンをつくっただけでなく、日本の一大産業をつくり出しました。エンターテインメントは社会との接地面が広い産業であり、その影響は大きい。自分たちが出ていくことで日本の成長に寄与できたらという思いもあります。

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そのとき求められるのはエンタメ本来の姿でしょう。エンターテインメントの俗物的な側面はゼロにならないかもしれません。でも、本来は人間の心を豊かにして、社会をより良い方向にもっていくためものです。人類の“踊り”って、きっとみんなでマンモスを狩ってドンチャカ祝うとか、原始的なところから始まったはず。そういったプリミティブな喜びに立ち戻ること、そしてコミュニティを育むために社会的な善性に意欲的になることが、日本のエンターテインメント産業を成長させることになる」

ストリートカルチャーに触れて育った人や従来のエンタメ産業を生き抜いてきた人には、優等生発言に聞こえるかもしれない。ただ、そんな逆風は織り込み済みだ。

アーティストとしても活躍する SKY-HI。ソロでは25年3月に最 新シングル「No Flexin’」を配信 リリースした。©ハタ サトシ
アーティストとしても活躍する SKY-HI。ソロでは25年3月に最 新シングル「No Flexin’」を配信 リリースした。(C)ハタ サトシ

SKY-HIが3月にリリースしたばかりの「No Flexin’」のリリックには、こんなフレーズがちりばめられている。

「『綺麗事ばっかで嘘クセェな』汚ねぇとこでボヤいてろうっせぇわ」「やる事やって振り返ったら後ろに勝手に出来てる歴史」

これがSKY-HIの日本のエンタメ産業に突きつけたアンサーだ。


SKY-HI◎1986年生まれ、2005年にAAAのメンバーとしてデビュー、同時期からSKY-HI名義でソロ活動する。20年9月にBMSGを設立。現在もアーティストとして、ソロのほか「TYOISM」を掲げる“BMSG”を体現していくクリエイティブ集団「BMSG POSSE」でも活動。


本記事が掲載されている2025 年4月24日発売の「Forbes JAPAN」6月号では、「多彩な新・起業家たち100人」にフォーカスした企画「NEXT 100」を特集。地球規模から社会、地域まで多様化する課題に対して、アントレプレナーシップをもち、「自分たちのあり方」と「新手法」で挑む起業家やリーダーたちを「NEXT 100」と定義し、100人選出した。独自のスタイルや美意識で新たな価値指標をつくりながら、多くの人を巻き込み社会的・経済的インパクトを出している人こそ、世界の希望になる。次の時代をつくる「新しいクレイジーな人たち」に注目だ。

文=村上 敬 写真=ヤン・ブース スタイリング=澁川慶成(TAILOR LINE)ヘアメイク=椎津 恵

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