音楽ストリーミングサービス「Deezer」は4月16日、同社のプラットフォームにアップロードされる新たな楽曲のうち、「すべてが人工知能(AI)で生成されたものが約20%を占めている」と発表した。現在、DeezerにアップロードされるAI生成の楽曲は1日あたり2万曲以上で、3カ月前と比較すると約2倍に増えたという。
「AI生成コンテンツは、以前よりも大量にアップロードされており、その勢いが衰える兆候は一切見られない」と、Deezerの最高イノベーション責任者(CIO)であるオーレリアン・ヘラールは声明で述べた。
同社はAIで生成した楽曲を検出するための自動チェックシステムを導入しており、SunoやUdioのような最も普及している「音楽生成AI」で生成した楽曲は、100%検知可能だと述べている。しかし「一部にAIを使用した曲」や、メジャーではないAIツールを使った曲の場合には検出が困難だという。
音楽生成AIの課題の一つは、著作権で保護された素材がモデルの訓練に使用されている可能性があることだ。Deezerは自社について、「AIの訓練と著作権に関するグローバル声明に署名した唯一の音楽ストリーミングプラットフォーム」だと述べており、「著作権で保護された創作物を生成AIの訓練に無断で使用することは、絶対に許されてはならない」と主張している。
Deezerには、毎日10万曲を超える楽曲がアップロードされている。AIで生成した楽曲の割合はまだ小さいが、現状の成長率が続けば、将来的には過半数を占める可能性がある。
調査会社のMarket.usは、世界の音楽分野におけるAIの市場規模が、現状の約40億ドル(約5700億円)から2033年までに約390億ドル(約5兆6000億円)に成長すると予測している。また、同社のレポートによると、ミュージシャンの60%が楽曲制作にAIを用いているという。
「生成AIは音楽の創作と消費にポジティブな影響を与える可能性を秘めているが、アーティストの権利と収益を保護することが重要だ。当社は、すべてがAIで生成された楽曲をレコメンドから完全に排除している」とヘラールは述べている。
人間がAIの助けを借りて楽曲を生み出すことは許されるが、AIが人間の仕事を奪ってはならないというのが、同社のメッセージであるようだ。



