トランプ政権関係者が司法命令違反で処罰される可能性はあるのか
連邦判事は、トランプ政権が故意に裁判所命令に違反した証拠があると判断した場合、政権関係者を民事侮辱罪または刑事侮辱罪に問うことができる。
民事侮辱罪では、裁判所は被告人となった公務員を命令に従わせるための処罰を下すことが可能だ。たとえば、移民が米国に帰還するまで被告人を拘留したり、罰金を科したりできる。刑事侮辱罪は、裁判所が公務員を刑事告発し、公務員は司法命令への不服従で起訴される。有罪なら罰金刑や禁錮刑の対象となるが、法律の専門家によれば、有罪判決が下った場合、トランプ大統領が恩赦を与える可能性が高いという。
民主党や司法関係者はかねて、トランプ政権が司法を無視する可能性を警告していた。トランプや政権高官が政策を阻む判事らを激しく非難し、大統領の計画は司法の制約を受けないと主張してきたからだ。
たとえば、J・D・バンス副大統領は2月、「裁判官が行政の正当な権力を縛ることは許されない」とXに投稿。大統領次席補佐官のスティーブン・ミラーは23日、FOXニュースに「急進左派に染まったならず者の司法が、わが国の国家安全保障を遂行する機構を停止させる」ことへの不満をぶちまけ、トランプ大統領は「共産主義者で左翼の裁判官の仕掛ける闘いや反対を押し切って」移民政策を敢行すると言明した。
トランプ政権が、差し止め命令が出た後に200人以上の移民をエルサルバドルの刑務所に強制移送し、誤送還された移民男性の帰還を「促進」するよう最高裁が命令したにもかかわらず放置する姿勢を示していることで、司法軽視への懸念は高まっている。政権側は、故意の司法違反を一切否認しており、ボアズバーグ判事の差し止め命令に対しては、判決が下る前にエルサルバドル行きの航空機が米国の領空を離れていたと主張。誤送還されたアブレゴガルシアの件では、当人が現在エルサルバドル政府の管轄下にあるため、米政府として帰還させることはできないと主張している。
トランプは大規模な強制送還計画の推進に当たって米軍への依存を強めており、国防総省の権限で移送用の航空機を手配したり、メキシコとの国境に米軍部隊を派遣したりしている。今回、裁判所命令違反の指摘を回避するために国防総省の名を持ち出したのも、これが背景にあるとみられる。
