報告書は、公衆の安全を最優先に考えた一連の提言を示し、その中で地方および国家レベルの政府やNGOに対し、アルコール業界とのパートナーシップを避けるよう強調している。これは、公衆衛生の取り組みが業界の資金や影響に左右されることなく独立性を保つためである。「こうした(アルコール業界との)パートナーシップは短期的に資金を得られる一方で、最終的には実証に基づく介入策を損ないかねない」と同研究は指摘している。
一方、厳格な取り締まりなどほかの戦略と組み合わせて効果的に企画・実施される公衆衛生主導の飲酒運転防止キャンペーンは、アルコール関連の事故、負傷、死亡を大幅に減らせる可能性がある。世界保健機関(WHO)やBloomberg Philanthropies Initiative for Global Road Safety(ブルームバーグ慈善団体世界道路安全イニシアチブ)は、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの20か国で実施されたメッセージテスト研究に基づき、一連のガイドラインを策定している。
ヴァイタル・ストラテジーズの道路安全コミュニケーションプログラム部門ディレクターであるイリーナ・モロゾワは声明で次のように述べている。「業界の支援を受けた飲酒運転防止広告は、道路安全への真摯な取り組みを装いながらも、効果的なコミュニケーション基準を満たしていません。今回の分析から、業界主導のキャンペーンは害を防ぐよりもアルコール使用を促進し、日常化する傾向が強いことが分かりました。企業イメージより公衆衛生を優先すべきであり、本当に命を守るためには、業界の利益を目的としたものではなく、有効性が実証された戦略が必要です」。


