金(ゴールド)がいくつもの点で新たな記録を打ち立てている。
金の価格は名目ベースで先週、史上最高値の更新を重ね、今週21日には初めて1トロイオンス3400ドルを突破した(編集注:ただ、23日には約3.5%下落している)。インフレ調整後ベースでも、1980年に記録し長らく破られていなかった水準を超え、史上最高値をつけた。
アナリストらの予想どおりなら、金価格はこの先さらに上昇する。ゴールドマン・サックスは、2025年末までに3700ドルに達し、2026年半ばまでに4000ドルの大台に乗せるとの見通しを示している。
グロース株として再び脚光浴びる金鉱株
金鉱株も人気を取り戻しているようだ。インベスターズ・ビジネス・デイリー社の代表的なグロース(成長)株リスト「IBD 50」には現在、金鉱株が12銘柄ほど名前を連ねる。
新たにDRDゴールド(南アフリカ)、エルドラド・ゴールド(カナダ)、ゴールド・フィールズ(南ア)、ランドゴールド・リソーシズ(カナダのバリック・ゴールドが買収)、オシスコ・ゴールド・ロイヤルティーズ(カナダ)、ロイヤル・ゴールド(米)、トリプル・フラッグ・プレシャス・メタルズ(カナダ)、ウィートン・プレシャス・メタルズ(カナダ)などが加わった。
ドルや米国債からも逃避するマネー
現在のゴールドラリーは典型的な「フィア(不安)トレード」である。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の4月のグローバルファンドマネジャー調査によると、投資家心理は過去30年で最低のレベルに落ち込んでいる。回答者のじつに82%が世界経済の成長減速を予想し、この調査が始まって以降、最も悲観的な結果になった。
ドナルド・トランプ米大統領の貿易戦争による影響をトレーダーが見極めようとするなか、米ドルの価値も世界の通貨バスケットに対して3年ぶりの安値に沈んでいる。ウォールストリート・ジャーナル紙は先週、インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するドル指数は年初来8%低下し、過去40年で最悪のスタートとなっていると伝えた。