3. パートナーを「説得」しなければならないなら、それは妥協ではない
妥協に関するよくある誤解に、妥協とは相手を説得して賛同を得ることだというものがある。だが、自分の言い分を通すために「本当に私を愛しているのなら、こうしてくれるはずだ」などと言って懇願したり、罪悪感を抱かせたり、あるいは微妙に操ったりしているようなら、それは妥協ではなく強要だ。
強要に関する研究(2011年)によると、真の問題は相手に与えるプレッシャーだけではない。成果を出すために危害を加えることもいとわないという意思を反映している点も浮き彫りにしている。恋愛関係において、感情面で脅したり操ったりして自分の思い通りにすることは協調ではない。それはパートナーの気持ちを無視して自分のニーズを満たすために状況をコントロールしていることになる。
一方、真の妥協とは相互的かつ倫理的なもので、双方が納得できる解決策を見つけることだ。強要は相手を無理やり従わせることで妥協を台無しにし、相手は憤りを募らせたり耳を傾けてもらえていないと感じることが多い。どちらかが操られている、あるいは満足できないと感じながら立ち去るのであれば、問題は解決していない。ただ先送りされただけだ。
強要することなく、健全にコミュニケーションをとるための実践的な方法をいくつか紹介しよう。
強要するのではなく明確に伝える:明確に伝えるとは、相手を動揺させようとせずに、自分のニーズを冷静に表現することだ。罪悪感やプレッシャーを与えるのではなく、「私は○○をすることを本当に大切にしている。うまくいく方法はないだろうか」というように尋ねる。相手を説得して同意させることが目的ではなく、話し合いに引き込むことが狙いだ。パートナーが自由に意見を言えるようになれば、どんな合意も尊重され、本物に感じられる可能性がはるかに高くなる。
平等ではなく、双方の満足を目指す:意見が異なる際に「間」を取るのではなく、解決策を共に見出したい。互いのニーズが対立しそうな場合は、「お互いが納得のいく第3の選択肢はないだろうか」と自問する。例えば、片方が外食することを強く望み、もう片方は外出しないで静かに過ごすことを切望している場合、「手早く外食した後に静かに過ごす」ことにすれば、双方のニーズを満たせる。
柔軟性を保つ:私たちが本当に望んでいるのは、パートナーに自分のニーズを認めてもらうことだ。自分の言い分を押し通したい衝動に駆られたとき、「2人の信頼関係を守るためなら、このままでいいだろうか」と自問する。柔軟性とは自分のニーズをないがしろにすることではなく、自分の望む結果を得ることよりもパートナーの自主性の方が重要だと認識することを意味する。そうすることで、関係をコントロールするのではなく、相互の思いやりに根ざした関係にすることができる。
覚えておいてほしいのは、極めて健全な関係は「貸し借り」や自己犠牲、あるいは強制的な合意の上に成り立っているわけではないということだ。そうではなく、相互尊重や柔軟性、そして一緒に問題を解決しようとする意欲によって成長する。


