1. 妥協とはニーズを完全に満たさないことではない
多くのカップルが妥協を引き算のように扱うわなに陥っている。例えば、「あなたは大勢で集まるのが好きだが、私は夜静かに過ごしたい。なので、友人1人を家に招いて過ごすことで折り合いをつけよう」と言うとする。表面的には公平に聞こえる。だが、こうした 「中間を取る」アプローチは時間が経つにつれて、平和を維持するために喜びを多少犠牲にしたように双方が感じることになる。
研究は別のアプローチを提案している。消費者の共有意思決定に関する2021年の研究によると、たとえ自分が一歩引くことになっても1人で選択するよりもパートナーと一緒に選択した方が確信が強まることがわかった。これは恋愛関係における本当の力とは最終的な決定権を持つことだけではないためだ。影響力を持ち、パートナーが決定プロセスに積極的に関与していると感じることが本当の力だ。
つまり、妥協は自分の世界を狭めるようなものであってはならない。むしろ妥協は自分の世界を広げる機会になりえる。妥協を争うものではなく、協力するものにする方法を紹介しよう。
・最も重要なことから始める:折り合いをつけることをお決まりにするのではなく、「それぞれが今、本当に必要としているものは何か」と問う。そして、夜外出する日を設けたら外出せずに家で過ごす日も設けるように、双方の意向を反映した計画を立てる。
・交換条件を明確にする:「このイベントには一緒に行くから、次の週末は家で過ごそう」と交換条件を明確にする。こうすることで妥協はただ黙って自己を犠牲にするものではなく、双方が意識して共有する選択に変わる。
・妥協を影響力として再定義する:妥協はコントロールを失うことと考えるのではなく、「双方のニーズが反映されるように、どのように共に答えを導き出せるだろうか」と問う。双方の意見が結論に反映されるとき、2人とも力を得たと感じる。
妥協が共に何かを生み出すものとして扱われるとき、双方が力を与えられ、尊重されていると感じ、関係満足度がアップする。


