また、高層階になるほど「空き部屋」が存在する可能性が高いと指摘されている。住民登録がない部屋の割合は、タワマン全体だと16.6パーセントで、さらに40階以上だと33.7パーセントと大きく増加していた。誰も住んでいない部屋が3割を超えるとすれば、異常と言ってもいいだろう。
分譲マンションでは修繕積立金の不足がしばしば問題となる。しかもタワマンとなれば、一般的な低層のマンションにはない、非常用エレベーター、内廊下の空調設備やスプリンクラーなど特有の設備があり、これらの修理や更新には多額の追加費用がかかる。
この費用は区分所有者が負担することになるが、新築分譲のときにはディベロッパー側の販売戦略で修繕積立金が安く設定されがちなので、その後どこかの時期に積立金の増額をしなければならない。
それを決定するには少なくとも全所有者の過半数の賛成が必要だ。ところが、住民間にある大きな年収格差は、区分所有者間の合意を妨げる可能性がある。そうなると必要な設備の修理や更新ができず、住環境の悪化につながりかねない。
神戸市の久元喜造市長も「高層タワーマンションは持続可能ではなく、長い目で見ると廃墟化する可能性があると思います」と話している。これが市街地の中心部でタワマンを規制する理由の1つだ。
一方で、昔から言われているのは、区分所有者が居住せずに賃貸する部屋が増えるとマンションの管理がおろそかになりがちだ。
また、居住実体がない空き部屋の存在は、別の問題をはらんでいる。というのも、マンション住戸が価格上昇を前提に転売される投機の対象になっている可能性があるからだ。
確かに、転売目的の法人や外国人がタワマンを保有していると指摘する報道も目立ってきた。こうなると、売却益が狙いなので、賃料収入を得るために誰かに貸す必要すらない。しかも投機の対象となることで、利用価値を大きく上回る価格で取り引きされ、実際に住もうとしている人が購入できなくなり、社会的厚生の棄損にもつながる。
報告書で提案された対策の1つが、空き部屋の所有者に、自治体独自の「法定外税」で負担を求めることだ。その理由としては、将来に修理できずに廃墟化したマンションから「外部不経済」が発生する可能性を指摘している。
具体的な内容は今後検討されることになるが、仮に税によって空き部屋の保有コストが上昇すれば、転売による投機の対象からもはずれ、適正価格にまで押し下げる効果があるかもしれない。
SNS上では、マンションの転売を仲介する事業者からは、逆に市場を歪めるのではないかと反対意見も出されている。ただ、それよりもSNSでも多く挙がっているのは、とにかく価格高騰を問題視する声だ。
有識者らからの提言を踏まえた神戸市の判断に、全国からの注目が集まっている。
連載:地方発イノベーションの秘訣
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