アート

2025.04.24 14:15

日本人クリエイティブ初の快挙。CEKAIが挑んだラスベガス Sphere 、企業に問われる次の一手

CEKAIは近年、文化・教育機関とも協業し、組織内にクリエイティブの目利きや戦略的視座を持つ担当者がいるからこそ実現した事例を複数手がけている。たとえば、NHKと東京国立博物館によるイマーシブシアター『新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』では、企画側とビジョンを共有することによる単なる受託作業では行えない新たな予算を獲得するところからスタートし、7メートルのビジョンを設置する没入感ある体験空間を実現した。

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また、日本科学未来館の特別展『チ。 ―地球の運動について―』では、作品のテーマである“知的探究心”を表現するために、幅15メートルの超パノラマスクリーンを活用し、膨大なアニメーションライブラリを駆使した映像制作と体験設計に取り組み、来場者に知の集合体を伝える表現に挑戦した。いずれも、単なる制作受託ではなく、企画段階からビジョンを共有し、アウトプットの精度を高めていくプロセスが存在しているからこそ実現できたものだという。


世界のクリエイティブシーンはいま、企業の内部にクリエイティブの目利き、クリエイティブディレクターを持つ体制へとシフトしている。単なる発注者ではなく、表現の設計思想を共有し、有機的な外部ネットワークを構築し、共に挑戦するパートナーとしてクリエイターを迎える──その覚悟と視座があるかどうかで、ブランドの未来は大きく変わってくる。

CEKAIの二人からの会話で見えた来たのは、日本の企業が世界市場で真に戦うために必要なのは、本質的な課題を見極め、言葉とビジュアルの先にある「体験の構造」まで設計できる力を、社内に育てられるかどうかではないか。それこそが、次世代のブランド競争力の源となるのではないか?

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Sphereのような世界最高峰のクリエイティブ舞台、そして今後さらに登場してくるであろうフレームのない新たな表現環境の中で、CEKAIのような最高峰クリエイターたちは、しなやかに挑戦し続けていくだろう。
では、その表現を活用する企業/ブランド側は、準備ができているだろうか?
世界はすでに、日本のクリエイターの才能に気づき、彼らとのコラボレーションを始めている。 今、問われているのは──その才能を企業自らの挑戦に活かせる「企業側の覚悟と体制」なのかもしれない。

文=西村真里子

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