暮らし

2025.05.01 15:00

「服は勇気を与える」老舗帯屋が贈る着物、若き社長の世界への覚悟:浅葉翔平(Plan・Do・See社長)

贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。


THE GIFT #23

浅葉翔平

Plan・Do・See代表取締役社長

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「明月蘆」の着物

細い絹糸を織り込んだ軽やかでハリのある生地が特徴。

引き染という伝統技法で、丁寧に染められている。

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普段、物欲のない私だが、唯一着物だけは以前から欲しいと思っていた。なかなか決心がつかないでいたが、昨年、PDS HOTELSの代表取締役社長に就任した際に、今後日本を代表するホテルブランドとして世界の要人と接する機会が増えるため、ぜひ着物を戦闘服としてまといたいと考えた。いよいよ購入かという折、スコープココの加納寛二さん、圭悟さんより、彼らが手がける「明月蘆」の着物をいただいた。

同社は、京都西陣で1889年より続く老舗帯メーカーだ。おふたりとは知人を介して知り合い、頻繁に食事などさせていただいている。海外でも活躍され、私にとっては尊敬する兄貴分のような存在だ。食事の席では、若輩者である私が「日本のおもてなしを世界へ」と夢を語るのをずっと聞いてくれていた。その寛二さんから「服は時にして人に勇気を与えるものである」と着物を手渡された時、覚悟が決まったのを覚えている。ついに、私たちが世界中の主要都市にて日本のおもてなしを届けていく時が来たのだ、と。

この着物をまとい海外の舞台で戦うのが楽しみだ。そして夢をかなえた暁には、おふたりに恩返しがしたいと心から思っている。


あさば・しょうへい◎1986年、京都府出身。立命館大学を卒業後、2009年にPlan・Do・Seeへ入社。24年4月より代表取締役社長に就任。創業者の野田豊加と共同代表制を敷く。「日本のおもてなしを世界中の人々へ」をミッションとし、国内外でホテルやレストラン、バンケットを運営。

文=伊藤美玲 イラスト=東海林巨樹

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