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2025.04.24 09:30

高騰する音楽フェスチケット、懐に余裕がない米若者世代の後払い「BNPL」頼み鮮明

Lady Gaga / コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル2025(Kevin Mazur / Getty Images)

米国の消費者はもう限界なのか

BNPLの利用傾向をみる限り、米消費者の健全性には赤信号が灯っている。クレジットカード債務と信用情報機関に報告されない「幻の債務」が重なって、過剰支出を助長すると警告する声もある。

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米紙ニューヨーク・タイムズは、BNPLがとりわけ金融リテラシーの低い若年層に無謀な支出を促していると指摘する。コーチェラでは、チケット代にさまざまな出費が重なって一人当たりの支出総額が2000ドル(約28万5000円)に達することもあり、返済が滞れば債務不履行に陥るリスクがある。

とはいえ、悪い話ばかりでもない。★2024年末のホリデーシーズンにおける米小売市場でのBNPL利用は14%増加したが、返済率は依然として高く、Affirmは90%の支払いが期限内に行われたと報告している。

コーチェラは債務不履行率が低い。ほとんどのBNPL利用者は頭金の支払い後まもなく返済を完了しており、フェス体験への意気込みがうかがえる。多くの参加者にとってBNPLは落とし穴ではなく、手元の現金不足を補う手段なのだ。

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今後はどうなる?

コーチェラにおけるBNPL利用の拡大傾向は、今のところ警鐘とまではいかず、警告灯が点滅している状態といっていい。一部の参加者、特に若年層で使える予算が限られている可能性を示してはいるものの、収入と支出をうまくやりくりしている人にとっては現実的な選択肢でもある。

米国の消費者が皆、ぎりぎりの生活を強いられているわけではないが、債務残高の増加とインフレの高進は脆弱性を示唆している。BNPL利用が拡大の一途をたどれば、規制当局がより明確な情報開示を求めて介入してくる可能性はある。

当面、コーチェラの参加者はレディー・ガガやポスト・マローンの思い出と毎月の支払いとのバランスを取りながら、砂漠で見る夢への「コト消費」を続けるだろう。その高揚感が、お金の使い道に対する後悔に傾かないようにできるかどうかが肝心だ。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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