キャリアの成功に大切なのは、自分らしさより適応力
今回の取材では、スタンフォード大学経営大学院講師のロバート・E・シーゲルにも話を聞いた。同氏は、『The Systems Leader: Mastering the Cross Pressures that Make or Break Today’s Companies(システム・リーダー:現代企業の命運を分ける複合的プレッシャーを乗り切る)』(未邦訳)の著者でもある。
シーゲルは、職場で一目置かれることに関して、まったく異なる見解を示した。同氏が勧めるのは、替えのきかない人材になることだ。そのために、彼は5つの戦略を提唱する。
1. 学習のマインドセットを採り入れる:「キャリアを継続的学習の道のりと考えよう。新しいスキルが必須のものになる前に身に付けることで、急速に進化する職場において、価値ある存在でい続けられるようにしよう」
2. 部署横断的な専門性を磨く:「従来幹部社員は、営業、エンジニアリング、財務といった所属部署でその道のエキスパートとして専門性を評価されて上級管理職になった。専門外の分野については、ほかの部署に頼ってギャップを埋めていた。しかし現在、企業の機能は、かつてないほど密接に連携し相互依存的なものになっている」
3. 社内の流動性を活用する:「成長機会は外部だけにあるわけではない。社内でのチャンスにも注目しよう。社内異動を奨励する企業では、適応や新たな挑戦に前向きな社員が評価される」
4. システムの相互作用を理解する:「高い成果を上げるプロフェッショナルは、ひとつの分野において傑出しているだけではない。彼らは、企業や業界の異なる要素がいかにつながりあい、影響を与えあっているかを理解している」
5. 分野固有のスキルよりも適応力を優先する:「プロフェッショナルのなかには、ディスラプティブな(現状破壊的な)トレンドを、一時の流行だとして取り合わない者もいる。しかし、AIであれ、クリーンエネルギーであれ、あるいは、社員の期待の変化であれ、大きな転換を無視することは、手痛い失敗になりかねない」
シーゲルとシャーマンの見解は、適応力というテーマで交差する。シャーマンの助言は、自分らしさを二の次にして職場の規範に従うべき、というものだった。シーゲルは、Z世代が柔軟性を求め、彼らが言うところの古臭く時代遅れな職場の常識に染まることを拒んでいることを根拠に、若い社員が先輩社員の習慣をそのまま採り入れるだろうと想定するのは誤りだと指摘する。しかし、シーゲルとシャーマンが同意するポイントがある。それは、長期的なキャリアの成功には適応力が鍵になる、ということだ。


