リーダーシップ

2025.04.25 11:00

災害時や戦場の医療改革に学ぶ「修羅場」のリーダーシップ

Gorodenkoff / Shutterstock

5. スピード感のある改革の採用と実施

グラスバーグ率いるチームは、以下のような原則に基づいて、組織文化の大きな転換を牽引した。

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1. 「致死率を下げる」ことにのみ集中する。

2. 「あらゆる理由と事例を活用」して、絶えずデータの収集、公開、討議に努め、役職を問わず、すべての関係者があらゆる手段を尽くすよう促す。例えば、イスラエルの法律では、救急救命士が輸血を行うことを禁じていた。しかしIDFの軍医総監がこれに異を唱え、軍に所属する救急救命士に関しては、特例措置が設けられることになった。

3. 兵役義務を満たすために医療隊員として任務についている若い医療従事者に、最も伝わりやすい方法でコミュニケーションをとる。今どきの若者は、より「経験豊富な」リーダーたちとは学び方が異なり、略語やリストよりも、人工知能(AI)で生成された動画を好む傾向がわかった。これは新たな発見だ。

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ビジネスに生かすための教訓

1. リーダーシップについては、入れ子構造で考えよう。つまり文化的、戦略的、戦術的という入れ子構造のことだ。だが、時間が最優先される場合には、これら3つのカテゴリーを融合させたやり方をとるべきだ。

2. 現状を常に見直し、成果の質や効率、スピードを上げられるプロセスや、体系的・技術的な手法を模索し続ける。

3. 逐次処理から並行処理へとアプローチを移行させることで、スピードアップを図る方法を見つける。

 ・トリアージのやり方を変えた緊急医療チームのように、状況や必要性に応じて、その時々で理にかなった行動をするよう、社員に促そう。

 ・米国赤十字社のように、手速くリソースを配備することを優先しよう。当初は概算でかまわない。配備を進めながら、適切な量に調整することは可能だからだ。

 ・イスラエル国防軍のように、目的達成を左右するリソースを重要拠点の近くに配備し、社員がすぐに対応できるようにしよう。加えて、企業文化を変え、あらゆる常識を疑い、重要性の低いステップは省略して、成果に及ぼす影響がより大きい活動を、より早く開始できるように心がけることが肝心だ。

forbes.com 原文

翻訳=ガリレオ

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