銀座で、ソニーらしく、公園らしく。Ginza Sony Parkの余白は磁力に

ソニー企業代表取締役社長兼チーフ・ブランディング・オフィサー 永野大輔

Ginza Sony Parkの削ぎ落とされた空間は、建築やデザインに留まらず、企業のブランディング、人々の思考のあり方にも響く哲学的な提案だ。

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「銀座の一等地にパブリックスペースをつくるなんて、誰もやらないこと。だからソニーがやる意味がある。人がやらないことをやる。それが創業時からのソニーのDNAであり、ブランディングです」

ヘッドホンをつけて街を歩くなんて非常識。ウォークマンを楽しむ若者を上の世代がそう非難する時期もあった。それでもソニーは新製品を発表し続け、若者は飛びつくように購入した。そんなやんちゃな心がソニーにはある。

オープンから数カ月、1日の来場者は1万2000人を超え、手応えは十分。「訪れる人やクリエイターとともに育ちながら、新たな体験やブランド価値をつくっていきたい」と永野は言う。都市に「余白」の概念をもち込んだ新名所は、詰め込みがちな今の社会で、外を見る大切さを教えてくれている。

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建物の高さは56mまでという銀座ルールのなかで、床面で約20mと周囲のビルより低く構えるGinza Sony Parkの屋上では、周囲を見下ろすのではなく、銀座の空を見上げる面白さがある。
建物の高さは56mまでという銀座ルールのなかで、床面で約20mと周囲のビルより低く構えるGinza Sony Parkの屋上では、周囲を見下ろすのではなく、銀座の空を見上げる面白さがある。

【特集】ART & BUSINESS | 創造を刺激する「余白」の価値

見え隠れする経済合理性の限界。脱却の糸口としてアートへの関心が高まるが、それも既存の物差しで測っては意味がない。より速く、無駄なく進む先に何があるのだろうか。むしろ「非合理」に向き合うことに可能性があるのではないだろうか。非合理とは、つくり手と受け手の間に解釈の「余白」があるものと考え、その価値を知るプレイヤーたちに話を聞いた。


永野大輔◎ソニー企業代表取締役社長兼チーフ・ブランディング・オフィサー。1992年にソニー入社。営業、マーケティング、経営戦略、CEO(最高経営責任者)室などを経て、2017年から現職。「Ginza Sony Park プロジェクト」のリーダーとして、13年からプロジェクトを推進する。

文=青山 鼓 写真=若原瑞昌

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