Ginza Sony Parkの削ぎ落とされた空間は、建築やデザインに留まらず、企業のブランディング、人々の思考のあり方にも響く哲学的な提案だ。
「銀座の一等地にパブリックスペースをつくるなんて、誰もやらないこと。だからソニーがやる意味がある。人がやらないことをやる。それが創業時からのソニーのDNAであり、ブランディングです」
ヘッドホンをつけて街を歩くなんて非常識。ウォークマンを楽しむ若者を上の世代がそう非難する時期もあった。それでもソニーは新製品を発表し続け、若者は飛びつくように購入した。そんなやんちゃな心がソニーにはある。
オープンから数カ月、1日の来場者は1万2000人を超え、手応えは十分。「訪れる人やクリエイターとともに育ちながら、新たな体験やブランド価値をつくっていきたい」と永野は言う。都市に「余白」の概念をもち込んだ新名所は、詰め込みがちな今の社会で、外を見る大切さを教えてくれている。
永野大輔◎ソニー企業代表取締役社長兼チーフ・ブランディング・オフィサー。1992年にソニー入社。営業、マーケティング、経営戦略、CEO(最高経営責任者)室などを経て、2017年から現職。「Ginza Sony Park プロジェクト」のリーダーとして、13年からプロジェクトを推進する。


