欧州

2025.04.21 09:00

ウクライナ、新世代の「迎撃ドローン」でロシアのシャヘドに対抗へ

ウクライナの新型迎撃ドローンとみられる機体(ウクライナのゼレンスキー大統領が通信アプリ「テレグラム」に投稿した映像より)

一方のロシアは、こうしたウクライナ側の防空網を突破するドローンの数を増やすべく、新たな戦術を2つ採用したようだ。ひとつは、ある目標により多くのドローンを集中させるというもの。もうひとつは、地上からの銃砲撃を浴びにくいようにドローンに高高度を飛行させ、目標に近づいてから急降下させるというものだ。

advertisement

アナリストのShahed Trackerの集計によれば、ウクライナ軍によるシャヘドの迎撃率(電子戦によるものを含む)は2月に97%に達していたが、3月には91%に低下した。言い換えると、突破率は3%から9%へと3倍に増えた。

ウクライナは、高度3000mを飛ぶシャヘドに対処できるような解決策を必要としている。軽対空砲ではここまでの高度に届かず、ミサイルは高価すぎるし少なすぎる。ひとつの解は、ドローンにドローンを差し向けるというものだ。

新世代の迎撃ドローン

ウクライナ軍が昨年使い始めた迎撃ドローンは、戦車のような地上目標を攻撃するFPV(一人称視点)ドローンを転用したもので、バッテリー性能を向上させるなど細かな改造が施されていた。この初期型迎撃ドローンは、ロシア軍が大砲やミサイル、攻撃ドローンの攻撃目標の探知などに用いている偵察ドローンを相当な数撃墜している。

advertisement

第2世代の迎撃ドローンには、ウクライナの非営利のドローンメーカーであるワイルド・ホーネッツの「ペレベルテニ(人狼、Werewolf)」、固定翼機型など、従来型より高速な機種が含まれる。筆者が最近取材したウクライナ軍のカナダ人ドローン操縦士、コールサイン「ミャスニク(屠殺人、Butcher)」は、ロシア軍のランセット戦術攻撃ドローンも時々撃墜している

ただ、シャヘド撃墜用ドローンの開発を依頼されたドローンメーカーが考案するデザインは、プロペラ推進の比較的大型なものになるのが普通だ。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は今月上旬、ベルギーのバルト・デウェーベル首相とともに両国の防衛企業の代表らと会談したあと、そのようなデザインの新型迎撃ドローンのひとつを披露した。ただし映像では、細かい部分はわからないようにされている。ウクライナの情報筋によると、名称不明のこの迎撃ドローンは、これまでに実戦配備された迎撃ドローンでは最も成功しているタイプだという。すでにシャヘドを20機撃墜したとされ、量産体制に入りつつある。最高速度は時速190km程度と伝えられるが、これは必要とされる最低限の速度だろう。

次ページ > シャヘドを撃墜した迎撃ドローンは数種類ある

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事