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2025.04.21 10:00

仏エルメス、フランス国内に工房を次々と新設 高級ブランド不況を尻目に

仏高級ブランド「エルメス」のオランダ・アムステルダム支店(Getty Images)

エルメスの戦略は「創造の自由」に基づいている。これにより、同社のアーティスティックディレクターは毎年テーマを考案し、展開することができる。そのテーマは、200年近くにわたるエルメスの歴史に関連したものであることが多い。今年のテーマは「ドローイング」、つまり「描く」だ。同社は「サドルステッチから鉛筆の動きまで、エルメスのすべては描くことから始まる」としている。

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フランス国内に工房を次々と新設へ

製造過程では、ブランドの特徴である職人技を保証するため、エルメスは長い時間をかけて供給業者との関係を築き、材料を確保してきた。デュマ会長が触れた垂直統合は、提携や買収を通じて行われてきた。これにより、供給網の履歴管理が強化され、材料や技術の開発戦略も保たれている。

エルメスの自信は、生産能力の拡大にも表れている。同社はすでにフランス全土に9軒の工房を構えているが、今年は仏中西部シャラント県リル・デスパニャックに、来年、再来年にもそれぞれ同国のジロンド県ループ、アルデンヌ県シャルルビル・メジエールに皮革製品工房を新設する予定だ。欧州の高級ブランドの一部は、製品に「フランス製」や「イタリア製」などと表示しながら、実際の製造過程の大半は中国で行われているとの動画がソーシャルメディア(SNS)上で拡散され、物議を醸している。そんな中、エルメスはフランス国内での工房の増設を発表した格好だ。

第1四半期の業績について、エルメスは「経済的、地政学的状況の不確実性が増す中、高度に統合された職人技術、バランスの取れた流通網、コレクションの創造性、そして顧客の忠誠心により、当社は自信を持って2025年を迎えることができた」と総括した。第2四半期以降を見据え、同社は「恒常為替相場での収益拡大という野心的な目標」に引き続き注力していくとしているが、具体的な数字は明らかにしなかった。

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forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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