同社のプラットフォームは機械学習とセンサーフュージョン(複数センサーの統合)により、客が手に取った商品を自動で把握する。その結果、「ビール一杯買うのに20分待ち」は「20秒で購入」に生まれ変わった。メッシ効果で2025年のシーズンチケットが完売し、すべての試合で満員が見込まれる中、ファンが列に長い間、並ばされることなく試合に集中できる環境整備はクラブにとって急務だった。
導入は主にスタジアムを運営するチームや企業が行なう。Zippinの導入理由には、回転率の向上に伴う売上アップだけでなく、高騰しつづけている米国の人件費へのヘッジとしても活用されている。実際にインテル・マイアミの本拠地Chase StadiumでZippinを活用している店舗で稼働している店員は、商品補充のために裏方にいるスタッフだけだ。
屋内プロゴルフリーグTGL((TMRW Golf League)でも新たな試みが行われている。タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイが創設に携わったTGLは、最先端テクノロジーを駆使し、バーチャルとリアルを融合させた新しい観戦体験を提供する。
本来、ゴルフのトーナメントは、木曜から日曜、朝から晩まで観客を拘束する。短い時間でいかに顧客体験を向上させるスポーツできるかが、ゴルフ業界にとって大きな課題だった。
2025年、TGLは実際にPGAツアーのオフシーズンに開催された。試合時間は約2時間半、ESPNで全試合が放映され、なんとその平均視聴者数は50万人超えを記録した。
試合の性質上、従来のPGAツアーでは、プレーヤーにファンが付く。チームは存在しない。プレイヤー一人ひとり人に依存する仕組みになっているため、人気選手が出場するかどうかで、トーナメントの価値は大きく変化してしまう。TGLは、チーム戦にすることでそれらのリスクをできるだけ抑えている。加えて、今後課題になるであろう環境配慮の観点や気候リスクなども極力排除することができる仕組みに、テクノロジーを用いてチャレンジしている。


