一筋の光はある──だが、それもかすかな希望でしかない。イーロン・マスクの政権離脱が予想されるなか、政府効率化省(DOGE)の試みは頓挫するかもしれない。しかし、DOGEという怪物はすでに解き放たれており、同氏がいなくても、1兆ドル(約142兆円)の政府支出削減という形で猛威を振るうだろう。
筆者は個別の支出の是非について議論するつもりはない。単純に、政府支出が1兆ドル減少することの影響を計算しているのだ。支出の減少それ自体はよいことかもしれない。だが、数々の天変地異のような政策の一つとして繰り出されれば、経済の鼓動を止めかねない。
一方、戦争を招く「黙示録第二の騎士」はパナマに現れ、不安定さにますます拍車をかけている(パナマ運河問題で米中が応酬)。結局のところ、重要な問いは一つに集約される。現状を好転させる材料はあるのだろうか?
筆者に言わせれば、何もない。つまり、あとは底値と、弱気市場がどれだけ続くかを憶測するだけだ。筆者の勘は50%強、2年と告げているが、もちろんこれはただの勘だ。
このような結果は、変えようのない運命ではない。しかし、私たちがすでに目にしたように、関税戦略をさらに強化し、中国に100%を超える関税を課すことは、経済回復への処方箋ではない。そんななか、米国経済と世界経済のいまの軌道は歴史的な世界不況へと向かっており、その途方もない損失は現時点では計り知れない。
米国の産業のオンショアリング(国内回帰)と再建に必要な資金は、株式・債権市場の低迷のなかでは調達できない。単純に、必要な分を賄うだけの資金がないのだから。では、これからどうなるのだろう?
株式市場は、今後の見通しが明るいか暗いかを告げるだろう。一方、金相場は、これから訪れる知らせは、今後予想される複数の経済的ショックよりも悪いものになるかどうかを教えてくれるはずだ。
今後数週間に起こることは、これからの10年を決定づけることになるだろう。


