系外惑星K2-18bの真実
K2-18bをめぐっては近年、バイオシグネチャーの検出報告とこれに対する反論が相次いでいる。2015年にケプラー宇宙望遠鏡によって発見されたK2-18bは長年、宇宙望遠鏡を使って調査すべき太陽系外惑星のリストの上位に位置づけられてきた。2019年にはハッブル宇宙望遠鏡が、K2-18bの大気中に水蒸気の証拠を発見した。
2023年には、今回の研究チームが「さらなる検証が必要な」兆候を検出したと報告した。その際の観測にはウェッブ望遠鏡の近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)と近赤外線分光器(NIRSpec)が用いられた。今回の新たな観測では、中赤外線装置(MIRI)が使用された。
生命探査の「転換点」となるか?
研究チームは今回の観測結果について、決定的な科学的発見のレベルにはまだ至っていないと認めている一方、偶然の検出結果である確率は0.3%しかないと主張している。また、科学的発見として認められるレベルに達するには偶然の確率が0.00006%以下にならなければならないが、それにはウェッブ望遠鏡で16~24時間の追跡観測が必要だとしている。
マドゥスダン教授は「以前とは異なる装置と異なる波長域の光を使用した、以前の観測と重複するところのない、独立した証拠だ。信号は強く、明瞭だった」と述べ、こう続けた。「これが転換点となって、ある日私たちは、人類は宇宙で孤独な存在なのかという根本的な問いに答えられるようになるかもしれない」
K2-18bのようなハイセアン惑星は地球と似てはいないが、太陽系外惑星の探査において生命の痕跡を探す際のハードルが低いと考える研究者がいるのには理由がある。こうした惑星は地球より大きいだけでなく、これまで観測された系外惑星の大半がこれに当たる。また、恒星からの距離が比較的近いとみられることから、地球サイズの小さな惑星よりも見つけやすく、研究しやすい。
それだけに、今回の最新の研究結果は、地球外生命探査においていっそう重要な意味を持つ。ただ、今のところそれは、生命が存在する証拠とまではいえない。


