宇宙

2025.04.18 17:00

系外惑星K2-18bに「生命の最も強力な兆候」検出、偶然の検出結果の確率はわずか0.3%

太陽系外惑星「K2-18b」の想像図(A. Smith/N. Mandhusudhan, University of Cambridge)

なぜK2-18bは「地球2.0」ではないのか

今回の発見をした研究チームは2021年、居住可能な太陽系外惑星の分類として「ハイセアン惑星」という新しい概念を提唱した。地球のような岩石惑星ではなく、海洋と水素を豊富に含んだ大気を持つとされる仮説上の惑星だ。

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ハイセアン惑星は、大気の温度が摂氏200度に達する場合や、恒星に潮汐固定されていて自転と公転の周期が等しく、片側の面では常に「夜」が続いている場合がある。K2-18bはこうした惑星の究極の事例だ。

科学的データに基づいた太陽系外惑星K2-18bと恒星、K2-18cの想像図(Illustration: NASA, ESA, CSA, Joseph Olmsted (STScI), Science: Nikku Madhusudhan (IoA))
科学的データに基づいた系外惑星K2-18bと恒星、K2-18cの想像図(Illustration: NASA, ESA, CSA, Joseph Olmsted (STScI), Science: Nikku Madhusudhan (IoA))

「生命あふれる海」が最も適合するシナリオ

NASAによれば、K2-18bは非常に活動的な赤色矮星を公転しているため、表面は高エネルギー放射線に覆われ、生命にとって地球よりも過酷な環境だとみられる。しかし、ハイセアン惑星という概念によって、科学者たちは既成概念にとらわれず、地球とはまったく異なる環境でも生命が存在できる可能性を検討できるようになった。

英学術誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズに今月17日付で掲載された論文の筆頭著者であるケンブリッジ大学天文学研究所のニック・マドゥスタン教授は、「以前の理論的研究で、ハイセアン惑星にはDMSやDMDSなどの揮発性の硫黄化合物が高濃度で存在する可能性が予測されていた」と説明。「今回、その観測に成功した。観測結果は予測と一致している。この惑星についてわかっていることをすべて考慮すると、生命あふれる海を持つハイセアン惑星というのが私たちの手元にあるデータに最も適合するシナリオだ」と述べている。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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