「パワースーツ」は、現代的にアップデートされたラインや新たな美的センスを取り入れて復活した。ウィメンズのスーツは特に、1980年代後半~1990年代前半に流行したスタイルが注目されている。
最近のレッドカーペット・イベントにも、多くのセレブリティがパワースーツで登場している。2025年1月には俳優のケイト・ウィンスレットが、アーデムのカスタムメイドのスーツで第82回ゴールデングローブ賞の授賞式に出席。
2月に開催された第30回クリティクス・チョイス・アワードではニコール・キッドマンが、サンローランが2025年春夏プレタポルテ・コレクションで発表した肩パッド付きのオーバーサイズのジャケットとパンツで、レッドカーペットを歩いた。
「進化」する女性のスーツスタイル
女性たちが職場でスーツやジャンプスーツを着るようになったのは、第1次世界大戦中のことだった。だが、テーラードスーツを女性向けのコレクションに取り入れ、それらを初めてファッショナブルなものにしたのは、真のフェミニストであったフランスのデザイナー、ココ・シャネルだ。
もともと帽子職人だったシャネルは、女性の衣服のシルエットを革命的に変化させた。アンドロジナスな(ジェンダーを超えた)スタイルを好み、20世紀のファッションを大きく変えたのは彼女だ。シャネルのデザインは乗馬をはじめ、アウトドアでの活動を趣味とした彼女自身の好みに基づいていた。
また、生地にも目が利いたシャネルは、物資が不足していた戦時中でも安価で入手できたジャージー素材を初めてスーツに使用。それまで男性の下着や靴下しか使われていなかった素材の生地の厚みと重みを生かし、ミニマルなシェイプとアスレジャー・スタイルを取り入れ、1912年に最初にオープンしたドーヴィルのブティックで、それらを販売した。
先見の明があったシャネルは、日焼けをファッショナブルなものにした。そして、1921年にはデザイナーとして初めて香水をつくり、自らのラッキーナンバーである「5」にちなみ、「 N°5」と名付けた。
両手を自由に使うことができ、アクセサリーとしても完璧なショルダーバッグ、シャネルを象徴する「2.55」(発表した1955年2月にちなんで命名)は、永遠の文化的アイコンのひとつになっている。


