細部までこだわり、開発に2年
──開発の期間は?
開発には2年ほどかかりました。特に取っ手部分の機能や安全性、デザインに時間がかかり、そこだけで1年半も費やしました。父とも何度も相談しながら、機能性と美しさを両立させるため、細部にまでこだわりました。
こだわった点としては、お皿のようなデザインと、スライド式で簡単に着脱できるスライド式ハンドルの採用です。
性能面では、鉄製で保温性・蓄熱性が高いので食材に熱を伝えるスピードが早く、「外はカリカリ、中はふわふわジューシー」を実現し、旨みを閉じ込めます。また、ガス、IH、オーブン、グリル、直火、あらゆる熱源で使用できます。
──価格設定についてはどうでしたか?
従来のフライパンの2〜3倍の価格を設定しました。ただ、デザイン会社からは「もっと高く設定したほうがいい」とも言われました。
とはいえ、私たちは量販店向けの製品を長く手がけてきたため、高価格帯の商品を販売することに慣れていませんでした。父も「本当に売れるのか」と不安を抱いていましたが、結果的には市場に受け入れられました。
常識はずれのデザインが起こした、海を越えた反響
──実際の売れ行きは?
PRタイムスでプレスリリースを出したところ、大きな反響があり、発売直後から売り切れ状態になりました。また、メディアにも取り上げられ、海外からも問い合わせが来るようになりました。
「フライパンジュウ」は、鉄製フライパンの常識を覆すスタイリッシュなデザインが特徴で、同じようなコンセプトの商品は市場になかったことも成功要因の一つです。
限りなく、お皿の佇まいを追求し、食卓に置いても馴染んで雰囲気を壊さないようにしています。サイズ展開も「お皿」に近くしました。
──海外市場にも進出されているのですね。
はい。海外の展示会にも積極的に出展しています。特に海外では、商品を手に取った際の見た目のインパクトが重要視されます。スタイリッシュなデザインは、現地のバイヤーからも高く評価されました。
さらに、この商品の効果で、通常の鉄フライパンの売上も伸びました。アッパーな価格帯の商品を手に取らない層が、通常のフライパンを購入するという広告的な効果も得られました。


