アジア

2025.04.20 08:30

AI特需で​​年間3兆円の投資、マレーシアの「データセンターバブル」に沸く富豪たち

マレーシア南部のジョホール州(DLeng / Shutterstock.com)

また、不動産取引においても、データセンター用地の売却で巨額の利益を上げる富豪が続出している。パーム油と建設関連で財を成したグイ・セオン・リムが率いる不動産開発企業クレセンドは、2023年以降、マイクロソフトを含む大手に40ヘクタール以上の土地を売却し、1億3700万ドル(約200億円)を得ている。

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マイクロソフトはマレーシアのデータセンター事業に総額22億ドル(約3100億円)を投資する予定で、今年2月には不動産王のリョン・コック・ワーが率いるエコ・ワールド・デベロップメントからも、59ヘクタールの土地を約1億5000万ドル(約210億円)で購入していた。

ジョホールの魅力

エコ・ワールドは、米投資大手ウォーバーグ・ピンカスが支援するプリンストン・デジタル・グループにも土地を売却しており、昨年以降のデータセンター向け用地の売却額は、合計で1億8000万ドル(約260億円)を超えている。一方、ダニー・タン・チー・シンが率いる不動産開発企業トロピカーナも、日本のNTTグローバルデータセンターや中国のZデータ・テクノロジーズに1億4000万ドル(約200億円)で43ヘクタール超の土地を売却した。

広大で安価な土地に加え、電力と水資源が豊富であることが、データセンター用地としてのジョホールの魅力を高めている。ナイトフランクの推計によるとジョホールのデータセンター容量は、直近で約400MWに達しているが、これは北部のクアラルンプールやクランバレー地域の容量の107MWを大きく上回っている。

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アリババの共同創業者で会長のジョセフ・ツァイは最近香港で開かれたカンファレンスで、マレーシアを含むアジア地域でのデータセンター建設ブームについて「バブルの兆候がある」と警告した。

しかし、メイバンクのサイフィは、「まだ需要がピークに達しておらず、さらなる建設の余地がある」と指摘する。彼は中国のバイトダンス傘下にあるTikTokのような企業が、同地域でのデータセンター投資を拡大していることを挙げた。またサイフィは、「マレーシアにはまだ土地も電力も水も十分にあり、今後のさらなるデータセンター事業の拡大が見込める」と語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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