アート

2025.04.21 15:15

フェイクニュース上等? 不確実な時代こそ「アートで経営の未来を描く」

著者チームがスペキュラティブデザインの作品「Cowboy Capsule」を制作する過程ででき上がった未来の可能性の1案。肉の価格高騰で一般の人々が口にできなくなった世界において、各地の野菜でプラントベースドミートをつくり、ビジネスとして始めようと訴える未来の広告イメージ

究極のベジタリアン「カウボーイカプセル」

 スペキュラティブデザインの手法を用いた実践例として、私が在学中に制作した「カウボーイカプセル / Cowboy Capsule」という作品があります。畜産業による環境負荷が問題化するなか、人間がセルロース(草)から栄養を得るための微生物を摂取できるカプセルを提案する作品です。

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著者チーム作「Cowboy Capsule」
著者チーム作「Cowboy Capsule」

作品のコンセプトは次の通り。

“畜産業は環境汚染、資源消費などの複合的な影響により、
最も損害を与える産業のひとつである。

ここでは腸内細菌を利用して、人間の胃を牛の胃のようにし、
セルロースからエネルギーを得られるカウボーイカプセルを提案する。

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これにより、人類は究極のベジタリアンとなることができる。
これはユートピアか、ディストピアか? それは誰にとって?

人間のために地球を変えるのではなく、
今こそ、地球のために人間を変えるときかもしれない ”

なぜ牛は草だけで生きられるのか?

作品の制作はチームで行われ、”食の未来”というテーマだけが与えられました。私のチームには、マテリアルサイエンティストやバイオテクノロジストなど、さまざまな経歴をもつメンバーがいて、あらゆる方向から「未来にはこんな可能性もあるのでは?」と探索を重ねていきました。

「牛は草を食べるだけで大きな身体を支えられるのに、人間は他の命を奪ってまで栄養素を取る必要があるのだろうか?」そんなひとりのチームメイトによる問いかけから、作品づくりは始まりました。

ここで再度お伝えしたいのは、「未来はこうなる」と決めつけるのではなく、「こういう未来もありうるのでは?」という問いを投げかけ、議論を促す重要性です。これがスペキュラティブデザインの本質です。

この作品はアイデアとしてやみくもに提示されたものではなく、現在と将来の科学・技術の予測に基づき、本当に起こりうる可能性のある未来を提示しているのです。

2030年、微生物「Crispr-Cas9」によって人間が牛のような反芻(はんすう)胃に改造できることを報じるフェイクニュース(著者チーム作)
2030年、微生物「Crispr-Cas9」によって人間が牛のような反芻(はんすう)胃に改造できることを報じるフェイクニュース(著者チーム作)
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文=平岡美由紀

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