もはや通用しない5つの学位
では、急速に価値を失いつつあるのはどのような学位か。以下の5つは、実践的なスキルを併せ持たなければ就職につながる能力を得にくい学位である。
1. 一般教養(明確な方向性がない場合)
哲学、歴史、文学といった専攻は高尚に聞こえるが、強力な副専攻や教員免許のような具体的なキャリア計画を組み合わせない限り、卒業後の道筋が見えなくなりがちだ。多くの一般教養プログラムは、ExcelやSQL、プロジェクト管理ツール、基本的なマーケティングやアナリティクスなど、現代の企業が求めるデジタルスキルを十分に扱わない。
2. 視覚芸術・舞台芸術
現在ジュリアード音楽院に在籍している、あるいはすでに自力で突破口を開いているのでなければ、演技、ダンス、美術といった学位は借金と失望に終わる危険性が高い。業界が重視するのは学位よりも才能であり、さらに芸術のビジネス面――ブランディング、ネットワーキング、フリーランス活動、契約・財務管理――を学ぶ機会が少ない点も痛手だ。
3. コミュニケーション
かつては堅実な選択肢と考えられていた広範なコミュニケーション学位は、その優位性を失っている。デジタルマーケティング、メディア制作、広報などの専門分野と結びつかない限り、雇用主が要求する技術的な実行力と目に見える成果が不足することが多い。文章力やスピーチ力が素晴らしくとも、グーグル 広告(Google Ads)のようなプラットフォームで広告キャンペーンを実行し、HubSpotのようなツールを使ってエンゲージメントを分析し、SEOやソーシャルメディアのアルゴリズムに合わせたコンテンツを作成できることを示さなければならない。
4. ジェンダー研究、エスニック研究、そのほか類似の分野
これら分野が取り上げる社会問題は極めて重要なものの、市場価値の高い学位かと問われればそうとは限らない。学界以外に明確な就職先が少なく、その学界ですら飽和状態だ。社会問題を深く学ぶ一方で、政策やコミュニティ・オーガナイジング、NPO運営などの実務スキルは十分に身に付かない。
5. 学部のみの一般心理学や社会学
心理学や社会学は興味深いが、学士号だけでは多くの専門職に就けない。博士号が必要とされる場合が多く、学部卒だけでは十分な待遇を得にくい。ソーシャルワーカーの資格やBehavioral Health Technician(行動保健技術者)のトレーニングなどを併せて取得することで、ようやく実践的な職に結びつく可能性が高まる。


