ウクライナのスタートアップ、Odd Systems(オッド・システムズ)は2024年10月、国産の熱画像カメラを生産すると発表した。開発した「クルバス-256」は解像度256x192ピクセル、価格は1万フリブニャ(約3万5000円)の予定で、同等の中国製品より20%ほど安い。量産できるようになれば価格はもっと下がると同社は説明している(編集注:クルバス-256を搭載したヴィリー・ドローン製FPVドローンは現状、1機およそ3万フリブニャ[約10万5000円]で、中国製品を使った同等品と同程度のコストとされる)。
重要なのは、クルバス-256が一般産業用でなくFPVドローン用に設計されている点だ。開発者は、市販の中国製熱画像カメラを搭載したドローンを実戦で使った操縦士たちに話を聞き、彼らの意見を取り入れて設計を変更したという。たとえば、一部の中国製カメラは内部に結露が発生して使用できなくなることがあるが、クルバスはそれを防ぐため密閉構造になっている。
オッド・システムズは「FPVドローン操縦士たちの経験に学び、彼らの希望を考慮しました。そのうえで、ハードウェアと低階層のソフトウェアを完全に制御できるウクライナ製プロダクトを開発しました」と地元メディアのミリタルニーに語っている。
クルバス-256ではそうした制御システムにより、操縦士がドローンの飛行中に状況に応じてコントラストを変更し、より鮮明な画像を得ることも可能になっている。また、ほとんどの熱画像カメラは自動キャリブレーション機能(画質や性能などを自動調整する仕組み)を搭載していて、そのために画像が数秒間フリーズすることがある。この機能はたいていの用途ではさほど問題にならないが、ドローンでは致命的なものになる。そのため、オッド・システムズのカメラでははじめから排除されている。
戦略的な動き
現地生産は、ドローンの操縦・運用というミクロなレベルでメリットをもたらすだけでなく、ドローンが戦場を支配している現在、国防調達というマクロなレベルでもきわめて重要だ。
ニューサウスウェールズ大のモロイは、自国のドローン生産能力は「軍のニーズに迅速に対応し、必要とされるものを迅速に実装することを通じて、技術革新と適応のサイクルを加速させることができます」と解説する。「現地生産によって、その国に特有の軍事ニーズに応じた改良や適応を含め、技術プロセスのあらゆる側面を管理できるようになり、不良部品のリスクも軽減できます」
ドローンの国産化はまた、中国などに部品を依存せずに済むようになるということでもある。
「国内生産は国際サプライチェーンの混乱や、外国からの調達が政治的な理由で制限される可能性に絡む脆弱性を低減します」(モロイ)


