AI関連のあらゆるものに熱狂する投資家たちとベンチャーキャピタルの資金によって、テクノロジー業界のビリオネアは過去およそ1年で、ほかのどの業界の富豪たちより裕福になった。新たに46人がビリオネアに加わった彼らの資産の合計額は、約6000億ドル(約86兆円)増加。3兆2000億ドル(約459兆円)余りに達している。
また、今回初めて番付入りしたこの業界の富豪には、語学学習アプリ無料Duolingoの共同創業者でCTO(最高技術責任者)のセヴェリン・ハッカー(11億ドル、約1570億円)、グーグル初の女性エンジニアでヤフーの元CEO、マリッサ・メイヤー(10億ドル、約1430億円)などがいる。
さらに、最年少の自力で億万長者になった「セルフメイド」のビリオネアのうち、AI分野で特に関心を集めるスタートアップ、Scale AI(スケールAI)の共同創業者である28歳のアレキサンダー・ワンCEO(20億ドル、約2870億円)も、そのひとりだ。
3位の業界は、製造業だった。番付入りしたビリオネアは、全体の11%を占める342人だった。この人たちが保有する資産の合計額は、前年より約1億ドル(約143億円)増加、1兆1000億ドル(約157億円)余りとなった。
また、この業界の最も裕福なビリオネアも前年と変わっておらず、ファスナーとネジの製造販売を手掛ける独ウルトグループの名誉会長、ラインホルト・ヴュルト(351億ドル、約5兆円)だった。
一方、製造業で過去1年間に最も資産を増やしたビリオネアは、ナイジェリア最大規模の総合商社、ダンゴート・グループ(セメント製造会社から、砂糖その他の食品も扱う同国最大規模の総合商社に成長)を率いるアリコ・ダンゴートだった。保有資産は約105億ドル(約1兆5000億円)増え、約239億ドル(約3兆4290億円)となっている。
製造業に携わるビリオネアのうち、今回が初のリスト入りとなった33人の中で最も多額の資産を持つのは、中国の電子タバコ業界の大物、 Zhang Shengwei(22億ドル、約3150億円)。次いでスイスの補聴器メーカー大手ソノヴァの株主、ハンス・ウーリー・リース(18億ドル、約2580億円)と推定されている。
次いでビリオネアが多かったのは、番付の10%にあたる297人が前年より約1億ドル(約143億円)多い2兆ドル(約286兆円)余りを保有するファッション・小売業界だった。
この業界の番付トップは、仏LVMHを率いるベルナール・アルノー。保有資産はおよそ1780億ドル(約25兆円)だった。だが、LVMHが業界について「厳しい経済・地政学的環境」にあると説明しているとおり、その額は前年から約550億ドル(約7兆8800億円)減少した。
だが、そうした状況下でも、この業界では16人が初めて番付入りを果たした。アスレジャー・アパレルのAlo Yoga(アローヨガ)の共同創業者、ダニー・ハリスとマルコ・デジョージ(いずれも保有資産は約47億ドル、約6730億円)、中国の宝飾品ブランド、老鋪黄金のXu Gaoming(徐高明)会長(82億ドル、約1兆1750億円)、サウジアラビアでスーパーマーケットとショッピングモールを運営するアブドゥラ・アル・オタイム・マーケッツ(Abdullah Al-Othaim Markets)のアブドラ・アル・オタイム会長(25億ドル、約3580億円)などが、その人たちだ。


