宇宙

2025.04.15 11:00

NASA科学プログラムの予算が50%大幅削減、多くのミッションが中止される可能性

NASAの赤外線宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」(c)NASA/Goddard

 イーロン・マスクも「懸念すべき事態」とコメント

NOAA(米海洋大気庁)の次世代気象衛星ミッション「GeoXO」は、海洋と大気汚染に関する新たな観測データを提供。その衛星群の開発はロッキード・マーティン社が22億7000万ドル(約3270億円)で受注している。(c)Lockheed Martin
NOAA(米海洋大気庁)の次世代気象衛星ミッション「GeoXO」は、海洋と大気汚染に関する新たな観測データを提供。その衛星群の開発はロッキード・マーティン社が22億7000万ドル(約3270億円)で受注している。(c)Lockheed Martin

トランプ政権のこうした采配に対して、苦言を呈する声明が各機関から即座に発表された。バイデン前政権のもとでNASA長官を務めたビル・ネルソン氏は、「この蛮行が継続すればNASAは深刻な窮地に陥る」「NASAの科学を蹂躙すれば、有人探査プログラムにも影響をおよぼす」などとコメントした。

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トランプ大統領の側近でもあるイーロン・マスク氏もこの予算案には落胆しており、「懸念すべき事態だ」とソーシャルメディアに投稿。ただし、「スペースXがNASAの主要請負業者であるため、残念ながら我々はこの予算協議に参加できない」とポストしている。

NOAAも直接的な影響を受ける。同庁は気象衛星「TIROS-N/NOAA」や「GOES」を運用し、現在、新世代の気象衛星を開発する「静止軌道拡張観測(GeoXO)」プログラムをNASAと協力して進めており、2032年にはその最初の衛星を打ち上げる予定だ。ただし、今回の草案では同プログラムの大幅な見直しが迫られるだけでなく、NOAAが管理する「宇宙天気予報センター」や「宇宙交通調整システム」を、米国土安全保障省(DHS)などに移管する案も含まれている。

これに対して民主党のゾーイ・ロフグレン下院議員(科学委員会筆頭委員、カリフォルニア州選出)は、「トランプ大統領のNOAA予算案は言語道断で危険だ」とし、「この馬鹿げた計画」の実施を阻止することに尽力するとの声明を発表している。

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NOAA以上にダメージを受けるのは、その予算が3分の1に減額される天文物理学のセクションであり、米天文学会(AAS)をはじめ、世界中の多くの天文学者からは今回の予算案を危惧するコメントが相次いでいる。

この予算案は今後、米国の上院と下院で審議されるが、その役目を追う歳出委員会のチェアマンであるクリス・ヴァン・ホーレン上院議員(民主党、メリーランド州選出)は、「ゴダード宇宙飛行センターとNASAの科学ミッションは、宇宙と太陽系惑星の秘密を解明する上で極めて重要であり、技術革新と国家安全保障に直接的に影響をおよぼす」とし、「ゴダードと科学ミッション局を骨抜きにすることは、近視眼的であるだけでなく危険だ」とワシントン・ポスト紙に語った。彼は「メリーランド州代表団が徹底抗戦する」とも述べている。

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編集=安井克至

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