ポスト・アプリの時代に向かうNothingの成長戦略
Nothingは2024年に日本の拠点となるNothing Japanを設立した。代表はマネージングディレクターの黒住吉郎氏が務めている。日本で販売されるNothing Phone (3a)は、国内で独自に普及するFeliCa規格の決済サービスにも対応する。Nothingは日本でその存在感を高めるためにローカライゼーションにも一切手を抜かない姿勢を打ち出している。
ペイ氏も日本での展開については「とても良い手応えを得ている」と語り、口もとに笑みを浮かべた。これからもブランドの認知を広め、Nothing Japanとのチームワークをより活性化させながら販路の拡大にも力を入れるとした。
Nothingのブランド戦略において「ユーザーコミュニティ」との関わる方はとても特徴的だ。同社は世界中の熱心なNothingファンを巻き込みながら、新しいデバイスとモバイルカルチャーの共創を図ってきた。例えばコミュニティのメンバーから選出された取締役を同社の取締役会に招き入れるユニークな制度を導入している。また株主の中にもコミュニティメンバーが含まれており、ファンが初期段階から企業成長に参加できる仕組みを導入した点もユニークだ。ペイ氏は「コミュニティから寄せられる忌憚のないフィードバックは時に厳しくもあるが、その声は必ず私たちを良い方向へ導いてくれると信じています。Nothingがぶれることなく前進を続けるためにもコミュニティとの良い関係を育てることが不可欠」なのだと語る。
ペイ氏が語るNothingのブランド戦略は、目先のトレンドに流されることなく、ユーザーが本当に求めている体験価値を着実にかなえることに焦点を当てた、地に足の着いたものだ。これまでの歩みを振り返りながら、ペイ氏はこれからの目標を次のように語った。
「最初の3年間は技術力やサプライチェーンの確立といった足場固めに注力してきました。2024年には製品ラインナップの拡充により前年比で150%の収益成長を達成しました。いまNothingのユーザー層をさらに広げることに力をいれて取り組んでいます。そしてこの成長を維持することが何より重要だと考えます。Nothingのシェアは世界のスマートフォン市場の0.1%に達しました。まだ小さな企業です。これを近く1%にまで高めることを目標に掲げています」
AIに関わる革新的な技術も「素材」として捉えながら、ユーザーのために役立つデバイスやサービスを1つずつ形にしてきたNothingの堅実な姿勢は、これからも多くの新旧ユーザーを惹きつけるだろう。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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