AI

2025.04.15 12:00

「AIの父」ヤン・ルカンが語るAIの形──未来へ向けて走る4つのポイント

ヤン・ルカン(Samuel de Roman/Getty Images)

4つのポイント

私がAIについていくつか質問をしたところ、ルカンは考慮すべき点として4つのポイントを示した。

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1.リスクに関する議論を抑えるべきだ

ルカンによれば、非現実的な期待や過度な警戒といった「両極端の誇大宣伝」は、これまでのAIの実績や今後の現実的な見通しを考慮していない場合が多いという。

2.新たなパラダイムの構築

ルカンはこれまでの主張通り、数年後には状況が変わると強調した。「生成AIだけですべてが解決するわけではありませんし、単純な系列データを自己教師ありで学習しただけでは世界のあらゆる課題を解決できるわけではありません。機械が物理的な世界を理解し、記憶し、推論し、計画を立てるためには、新たなパラダイムが必要になるでしょう」。

3.AIを市場に広く浸透させる必要がある

ここでルカンは、以前から言及しているようにオープンソース・システムの重要性を示した。「AIは広く普及する必要があります。世界のあらゆる言語を話し、あらゆる文化を理解できなければいけません。そのためにはオープンソースのプラットフォームが不可欠です。現状ではトレーニングに多大なコストがかかるので、一部の組織しか実行できませんが、それでもこれは非常に重要です」。

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4.高い多様性を保ち、バランスの取れたデジタル環境を実現する

端的に言えば、AIが私たちのためにこなす仕事が増えていく以上、それを支える多様性が必要だということだ。ルカンの見解によれば、「活発な利用を阻む規制的囲い込みはあってはならない」という。

個人的な利用法

私はルカンに、彼自身がどのようにAIを使っているのか尋ねた。冗談めかして「歯磨きにもAIを使っていますか?」と聞いてみたところ、ルカンは創造的であるためにAIを使用していると述べ、コードを書くためにそれを使用することについて語った。

若い世代のプログラマーがこれらのツールを自由に使えることで害を受けるかどうかについては、ルカンはやや否定的であり、電卓登場時のような過去の懸念が大部分は根拠のないものだったと指摘した。

春のシーズンが訪れ、数多くのイベントやカンファレンスが予定されているいま、ルカンの挙げた視点は有用だろう。ビジネスの現場がAI導入を本気で進めようとしているのは明らかであり、それを実現するには大きな努力が必要になると見られる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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