「あのコンサートは1986年に一度VHSでリリースされたが、音質も映像もひどかった。それきりになっていたのは、あまりにひどい録音だったからだ」とマクドナルド監督は説明した。「今になってようやく、きちんとミックスできるようになったんだ。元の録音はどのトラックもブリードスルー(バックグラウンドノイズ)がひどかったからね。きっとレコーディング中はみんな酩酊状態で、いい仕事をしなかったんだろう。音響技術が発達したここ数年でやっと誰でも素晴らしいミックスを作ることができるようになった」
「これは、ビートルズが1966年にツアーを中止した後、ジョン・レノンが残した唯一のノーカットライブ映像だ。ジョンの全盛期のパフォーマンスを見たければ、これは見るべきショーだ。このとき彼は32歳で、最高にイカしたカリスマだった」
偶像視の対象となった芸能人のドキュメンタリーに取り組むのは、マクドナルド監督にとって本作が初めてではない。歌姫ホイットニー・ヒューストンのドキュメンタリー映画『ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユー』でも監督を務め、高い評価を得ている。それでも、伝説的なチャリティーライブを包み込む大きな物語を見つける必要があった。『ONE TO ONE』をただのコンサート映画にしたくなかったからだ。とてもその枠には収まらないと感じていた。
「『よし、ではそれをテーマにどうやって映画を作るんだ?』と自問した。長年にわたり音楽映画やドキュメンタリー作品をたくさん手掛けてきたが、いつも何か違うことをやってみたい、過去をこれまでと異なる方法で表現したいと思っている。今回は、アート・ドキュメンタリーを撮る機会を得られた。前提となったのは『このような人生が残した欠片をどのように使うか』で、それらを過度にキュレーションしてきれいな物語を描こうとしないことだった」とマクドナルド監督は回想する。
「ホームビデオ映像やニュース動画など、これまで使われたことのない素晴らしい素材すべてをほとんどランダムに紹介することで、映画を観る人たち自身がアーカイブ資料を調べているみたいな気持ちになるようにしようと考えた。私がやったようにテープの入った箱を覗き込み、万華鏡のような映像の中から、ジョンとヨーコやその時代についてどう思うか、自分なりの感覚を持ってもらうのだ」


