北米

2025.04.15 09:30

米国のTikTokで広がる「簡単に稼げる副業」、その背後にある歪なインセンティブ

Shutterstock.com

あるクリエイターは、TikTokで600万回以上再生されている動画の中で、デザインソフトのCanvaを使ってバナーを30分で作成するだけで、月に8100ドル(約115万円)の売上が得られると主張している。また別のクリエイターが投稿した文字起こしサービスで月に3000ドル(約42万7000円)の副収入を得られると主張する動画は260万回再生されている。この2人は、それぞれ「The Roadmap」と「Digital Wealth Academy」の講座を宣伝しているが、どちらもコメント要請に応じていない。

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「The Roadmap Exclusive」と「Legendary Marketer」という2つの講座を運営する企業はフォーブスの取材に対し、一部のクリエイターが自社の講座で得られる収入に関して「誤解を招く主張」をしていると非難し、自社のビジネスモデルが正当なものだと主張した。

ランドールは、自身が初期の投稿では他のクリエイターの真似をしていたが、今では「後ろめたさを感じるようになった」ため、アプローチを変えたと語っている。彼女が現在販売している講座は、「情熱を持てるテーマを軸にビジネスを構築できるように設計されたもの」だという。

規制当局の監視対象に

しかし、一攫千金をうたうスキームが、実際にうまくいくことはない。コロラド州のHoskin Capitalの創業者で、TikTokで23万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーのネイト・ホスキンは、「TikTokの副業カルチャーの最大の問題は、自分で副業に取り組むよりも、やり方を教える側に回った方がはるかに楽に稼げるという考えを広めている点だ」と指摘する。その結果、現実とはかけ離れた成功例が広まりやすくなり、規制当局の監視対象にもなっている。

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米連邦取引委員会(FTC)は、これまで複数回にわたりEコマースやアフィリエイトで得られる収入について消費者を誤解させたとして、企業や個人を訴えている。たとえば、FTCはオンラインビジネスのコーチング会社Lurnに対し、240万ドル(約3億4100万円)以上を顧客に返金するよう命じていた。この会社は、「家にいながらビリオネアになれる」といった「根拠のない主張」を行っていたとして、FTCに提訴された。

FTCの副ディレクターであるケイティ・ダファンによれば、特定のビジネスで得られる収入を宣伝して勧誘を行う個人は、他の人々が同様に稼げることを証明できなければならないという。また、チェックアウトページの下部にごく小さな免責事項を表示するだけでは不十分であり、「明確かつ目立つかたち」でそれを提示しすることを義務づけられる。

「簡単に稼げるとうたう動画は、一種の『希望の罠』だ」と語るのは、ライアンと名乗るクリエイターだ。彼は、冬の嵐で自宅が損傷した後に、複数の「簡単にお金を稼げる」とうたう講座で学んでみたが、いずれも借金を返済するための助けにはならなかったという。ライアンは今、「TikTokやインスタグラムで広まる副業をレビューするアカウント」を運営している。

「この種の動画は注目を集めるし、再生されることにみんな気づいている。簡単にお金を稼げるという話は、実際は中身がなくても魅力的に聞こえるものだ」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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