AI

2025.04.10 14:00

EU、AI分野の競争力増強のため32兆円投資 米中に対抗

欧州委員会のヘンナ・ヴィルクネン執行副委員長(Thierry Monasse/Getty Images)

さらに、世界初の包括的なAI規制として2024年に可決された「AI法」も、地域に難題を与えている。この法律は、リスクの高いAIの使用を禁止し、透明性要件を課すことで倫理的な枠組みを確立した一方で、スタートアップ企業のイノベーションを阻害する可能性が指摘されている。欧州委員会は、このような懸念を踏まえた上で、年内に「AI法サービスデスク」を立ち上げて、企業が規制の枠組みの中でどのように事業を展開できるかに関するガイダンスを提供する。

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環境面の課題も

もう1つの課題は、地域のAI関連の取り組みが、野心的な環境保護の目標を阻害しないようにすることだ。AI向けのデータセンターの電力や水の消費は急増しており、環境への影響が懸念されている。

欧州委員会は、この懸念を踏まえて、「グリーン・コンピューティングの推進は今後も継続され、AI向けに最適化された省エネルギー型スーパーコンピューターや高度な冷却システム、排熱の再利用などのテクノロジーが活用される」と述べている。

EUが発表した「AIコンチネント行動計画」は、AI分野における欧州の競争力を高めるための、これまでで最も協調的な取り組みといえる。「AIの世界的競争はまだこれからだ。この行動計画は、欧州をAIの先進地域に押し上げるために、どの分野に注力すべきかを示している」とEUのテクノロジー関連の筆頭副委員長であるヘンナ・ヴィルククネンは述べている。

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とはいえ、EUは他にもAI分野で大きな課題を抱えている。この分野では、民間投資の不足や27の加盟国にまたがる市場の断片化、複雑な規制体系などがイノベーションを妨げている。EUのAI計画の成功の鍵は、この計画のビジョンをいかに迅速かつ協調的に、各国の政府や企業、研究機関の間で実行に移せるかにかかっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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