経済・社会

2025.04.09 18:15

トランプ関税戦争に電光石火の反応、ベトナムを助けた北朝鮮との縁

ベトナム共産党のトー・ラム書記長(Photo by Andres Martinez Casares-Pool/Getty Images)

実際、トランプ氏の一族が経営するトランプ・オーガナイゼーションは24年10月、ベトナム北部フンイエン省に総額15億ドル(約2200億円)規模の投資を決めた。フンイエン省はトー・ラム氏の出身地だ。トランプ氏一族のグループはベトナム側との共同開発で、高級ホテルやゴルフ場などを建設する。まさに、北朝鮮の金正恩総書記が取り持った縁と言えるだろう。

advertisement

ハノイの旧市街にある高級ホテル、ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイにはトランプ氏と金正恩氏が散策した中庭と、両氏らが夕食を共にしたレストラン「スパイス・ガーデン」に、「歴史的な首脳会談」などとして、両氏らの名前を刻んだ金色の記念プレートが掲げられている。全方位外交を掲げるベトナムは常日頃から、「北朝鮮核問題を扱った6者協議参加国のすべての国(日米中韓朝ロ)と良い関係を結んでいるのは我々くらいだ」と言ってはばからない。今でもベトナム政府関係者は米国側に「第2次ハノイ米朝会談でも、米ロ会談でも、はたまたロシアとウクライナの会談でも我々は場所を提供する用意がある」とも伝えている。

ベトナムははるか昔、秦の始皇帝からも国土を侵略された歴史を持つという。ベトナムの専門家の一人は「我々ほど戦争をしてきた国はない。平和を望むからこそ、積極的に中立外交を展開するのだ」と語る。別の専門家は「ウクライナはロシアを刺激し過ぎた。我々と中国の付き合い方を教えてやりたいくらいだ」とまで言う。

その主張の是非はさておき、常に侵略の危険にさらされ、周囲の動きに高いアンテナを張り巡らせてきたからこそ、トランプ政権が仕掛けた関税戦争に対しても瞬発力を発揮できたのだろう。日本は戦後の80年間、幸いにして戦争を経験せずに過ごしてきたが、これからは反射神経をもっと磨いた方がよさそうだ。

advertisement

過去記事はこちら>>

文=牧野愛博

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事