マーケティング

2025.04.12 11:30

「エモ」の次は? 細分化するZ世代の心をつかむ方法

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「界隈消費」の出現

こうした熱量の高いファンを研究して取り込んでいく姿勢は今後ますます重要になる。エモ消費のなかで「界隈消費」という新たな動きが出てきているからだ。特定の集団やコミュニティに属し、そこで熱烈に支持されるものに価値を見出すのが界隈消費で、Z世代という大きなくくりで消費者像をとらえるのでは通用しなくなってくる。

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界隈は、同じ経験をもつ同士が集まっているため濃厚なコミュニケーションが生まれやすく、ハッピーな共感も盛んに起きる。エモ消費を色濃く反映している。

界隈消費によってLTV(顧客生涯価値)の飛躍的向上が起きると予想している。SNS上で自分の所属する界隈で支持されているものを調べたり発信したりすると、それに応じてアルゴリズムもその界隈に寄ったものになり、「この商品しか使わない」という行動が生まれるためだ。

一方で、アルゴリズムにはじかれてSNS上に表示されないものは、目にも留まらなくなる。界隈消費が存在感を高めていくなかで、エモマーケティングはなるべく早く実行するべきだ。

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すでに「韓国界隈」「美容界隈」「筋トレ界隈」などが存在するが、今後それぞれのなかで需要がさらに細分化されていくだろう。企業はそうしたニーズに応えられるよう、界隈に直接アプローチしてインサイトを獲得していくことが重要だ。

例えば、1億円を投じてZ世代全体に刺さるものをつくるという発想ではなく、10パターンのペルソナを用意して、それぞれに向けた商品を1000万円ずつの予算でつくるという考え方にシフトする必要がある。


今瀧健登◎1997年生まれ。Z世代特化の企画・マーケティング会社「僕と私と」代表取締役社長。2020年11月に会社設立。メンバーの7割がZ世代で構成される。著書に『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』など。

文=安心院 彩

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