マーケティング

2025.04.11 08:30

「たべっ子どうぶつ」まさかの映画化で日本のお菓子文化を世界に

宮本周治|ギンビス

GUやニューエラなどアパレル、マクドナルドのハッピーセット、BANDAISPIRITSの一番くじといったコラボのほか、秋元康総合プロデュースの音楽ユニット「たべっ子キッズ」や公式パズルゲームアプリ「たべっ子どうぶつTime」など、“たべっ子どうぶつ経済圏”は拡張し続けている。そして、まさかの映画化(『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』)も決定した。実は映画化は、宮本の夢でもあった。 

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「映画がつくりたかったんです。ギンビスには『お菓子に夢を』や『お菓子を通して世界平和に貢献する』という理念があるのですが、これを体現するような愛と平和に満ちた物語ができたらいいなと思っていて。マーケティングの観点でも、たべっ子どうぶつを知らない人も含めて、国内外の幅広い世代にリーチできる映画というメディアは魅力的です」

今年5月の映画公開を控え、「ようやくスタート地点に立った」と話す宮本。“キャラクターを通じたコミュニケーション”という武器も手に入れた今、「日本の菓子文化を世界に広げる」という夢に向けて、海外市場での販路拡大に力を入れる。現在、中国の工場を拠点に25カ国・地域に出荷しているが、課題は日本食に特化したスーパーだけではなく、現地のスーパーで棚を取ること。その成功例が香港で、90年代から販売し現在では日本と同じくらい浸透している。

「大切なのはローカル戦略。人は、8歳までに慣れ親しんだ味が生涯味覚に影響するといわれているので、その国の食文化になじむようなフレーバーも開発しています。例えば香港では、のり味が人気なんですよ。米国では最近、チョコレートをしみ込ませたビスケット(たべっ子水族館)などが、夏場でも常温保存できるという利点もあって販路拡大しています」

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先代である父から「お菓子業界は平和産業だから」と、世界平和の実現に向けた重いバトンを受け取った宮本。「動物や海の生きものは世界中のあらゆる場所に生息する。だからこそたべっ子どうぶつは、住む場所や人種や文化が違っても仲良くおいしく食べられるお菓子です。これを世界中で愛されるお菓子に育てるとともに、他社さんとも協力して、日本の素晴らしいお菓子文化を世界に届けたいです」


宮本周治◎中学卒業後にニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに入学、1997年にサフォーク大学卒業。香港の四洲集団を経て99年にギンビス入社。2014年から現職。毎日、商品の味と品質を自らの舌で確かめている。

文=田中友梨 写真=宇佐美雅浩

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