始めたばかりの仕事を、辞めることにした。その理由を、最近知り合ったばかりの上司に説明する時ほど決まりの悪いことは、職業生活の上でもそうそうあることではない。しかしこうした体験は、あなたが思うよりも「よくあること」だ。
採用管理ソフトウェアを提供するEmploy(エンプロイ)が毎年出しているリポート「Job Seeker Nation Report(全米求職者調査)」の2022年版によると、新たに採用された人のうち約30%が、最初の90日以内に職を去っている。
また、カスタマーエクスペリエンス管理ソフトウェアを提供するQualtrics(クアルトリクス)の調査によると、採用から6カ月以内の従業員のうち40%近くが、今後1年以内に退職するつもりだと回答している。
就職した後すぐに仕事を辞めようと思った場合、いくつかの理由が考えられる。おそらくは、採用プロセスの中で、仕事内容がしっかりと説明されておらず、仕事内容や業務環境が、あなたの予想と違っていたのだろう。あるいは、あなたの価値観や仕事スタイルと本質的に矛盾する、有害な企業文化を持つ会社に入ってしまったことに気づいたのかもしれない。また、個人的な状況や生活を一変させるような予想外の出来事のために辞めざるを得ないのかもしれない。あなたの目指すキャリア目標にもっと適合した、自分により適した仕事のチャンスが現れた場合もあるだろう。
どのような理由にせよ、職業上の成長や、個人としてのウェルビーイングに対して、現在の仕事が害になるとしたら、その事実を認識することは重要だ。
始めたばかりの仕事を辞める準備が自分はできている、と気づいたなら、そのプロセスを責任ある職業人として進めることが大切だ。以下では、退職のプロセスについて、段階を踏んで説明していこう。関係性が炎上して、完全に関係が絶たれてしまうような事態を防ぎつつ、後腐れなく職場を去る上で役に立つやり方だ。
早々に辞める、という自分の決断を再確認する
ほとんどの人は、新しい職場に完全に慣れるには3カ月ぐらいかかる。従って、退職を決める前に、ストレスや、調整期間中の一時的な問題に影響されていないかを十分に検討しよう。
現在直面している問題が、時間の経過や努力によって改善する見込みがあるのか、それとも、自分では変えられない根本的なものであるのかを検討しよう。また、退職の決断をする要因となった具体的なことを書き出してみよう。
いくつかの重要な質問を自問する
・自分は倫理的な懸念を持っているのか
・文化的な不適合はないか
・業務内容の説明に不備があったか
・自分の個人的な環境は変化したか
・この仕事は、自分の長期的なキャリア形成の目標と適合しているか
退職する理由を自分の中で明確にすれば、その決断を周囲にはっきりと伝えられるし、今回の経験から自身が学ぶ助けにもなるだろう。退職することへの決断が適切な場合には、最終的な決断をする前に、自分の懸念について、上司や人事担当者と話し合うことを考えよう。率直な話し合いによって誤解が溶けることもある。



