インドの財閥リライアンス・インダストリーズ(RIL)は4月3日、南部アンドラプラデシュ州で6500億ルピー(約1兆1100億円)を投じて圧縮バイオガス工場を建設すると発表した。RILの会長を務めるムケシュ・アンバニ(67)は、インドで最も裕福な人物で保有資産は911億ドル(約13兆2000億円)と推定されている。
同社は、アンドラプラデシュ州のプラカサム地区で、最初のバイオガス工場の建設に着工しており、今後州内の50万エーカーの荒地に500カ所の同様な工場を建設する計画という。RILは、このプロジェクトで年間400万トンの圧縮バイオガスと110万トンの有機肥料を生産する計画で、現地で25万人の雇用を創出すると述べている。
「我々は、このプロジェクトが単なるエネルギー生産のためのものだとは考えていない」と、RILのプラサド取締役は語った。「この取り組みは、地域社会を活性化し経済を後押しすることに加えて、アンドラプラデシュ州のクリーンエネルギーの目標を前進させる」と同取締役は述べている。
RILは、アンドラプラデシュ州全域で栽培されるイネ科の植物のナピアグラスを用いてバイオガスを生産すると述べている。同社は、農家に土地のリース料を支払い、ナピアグラスを買い取ることで地元のコミュニティを支援していく計画だ。
プラサドによれば、このプロジェクトから生まれる肥料は農地を肥沃なものに変えるという。RILは、今後の10〜15年で800億ドル(約11兆6000億円)を再生可能エネルギーに投資して、ポートフォリオの多角化を進める計画だ。
1966年にムケシュ・アンバニの父である故ディルバイ・アンバニによって設立されたRILは、小規模な繊維メーカーとして始動した後に、石油化学や通信、小売、メディア、金融サービスなどに事業を拡大した。ムケシュとその弟のアニルは、2002年の父の死後にその事業を分け合った。