「トランプ関税」の矛先は、食料品からガソリンまで、あらゆる物価の上昇というかたちで米国の消費者に向けられるだろう。UBSのアナリストは、2025年の米国のGDP成長率が2%を切る可能性があると予想している(2024年の実質GDP成長率は2.8%だった)。ドイツ銀行は、さらに深刻な影響が出るとみている。
「成長率と収益の見通しが低下し、インフレの上振れリスクが加わると予想される」 とLPLフィナンシャルのチーフテクニカルストラテジスト、アダム・ターンキストは言う。「これは株式市場にとって、よい組み合わせではない」
一部の業界は、より大きな打撃を受けるだろう。米自動車メーカーは既存の保護措置や優遇措置のおかげで、今回の関税の影響の大部分を免れたように見受けられるが、小売業界は大混乱が避けられないとみて身構えている。特に、中国やベトナムなどからの輸入に大きく依存している衣料品・アパレル業界では、今回の大幅な関税引き上げが消費者価格の上昇につながることは間違いない。
市場が混乱し、企業が対応に追われる中、ウォール街はトランプのリーダーシップに対する信頼を失いつつある。4億5000万ドル(約655億円)の資産を運用するノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は、「昨年までの楽観論がたった2カ月で蒸発すると予想した人はほとんどいなかっただろう」と話す。
市場分析会社バイタル・ナレッジの創業者アダム・クリサフリは、最近公開した投資家向けノートで、こう述べている。「投資家心理は破壊され、押し目買いの動きはどこにも見当たらない」「最近の出来事をどうにかポジティブに解釈しようとするあらゆる努力は、いよいよ通用しなくなっている」


