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2025.04.07 11:30

トランプに幻滅するウォール街 フォーブス調査 経済政策「効果なし」72%

米ニューヨーク証券取引所の立会場に飾られた、ドナルド・トランプ大統領を支持する「MAGA(米国を再び偉大に)」の帽子。2025年4月1日撮影(Michael M. Santiago/Getty Images)

トランプが先週発表した攻撃的な新貿易政策は、世界経済に衝撃を与えている。計画の中心に据えられているのは、トランプ政権が「相互関税」と称する仕組みだ。これは、米国に輸入されるすべての物品に一律10%の基本関税を課し、最大の貿易相手国の多くに対してはさらに踏み込んで、これまでよりはるかに厳しい関税率を上乗せするというものだ。

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発表の翌日、世界の株式市場は急落した。欧州、アジア、米国の主要株価指数は軒並み大幅に下落し、米国市場は2020年以来最大の下げ幅を記録。米ドルもユーロや円を含む主要通貨に対して1%以上下げた。

「憂慮すべき事態で動揺している」と、フォーブスの資産マネジメントチーム番付で注目企業に選ばれたカリフォルニア州の資産アドバイザリー会社、セージミント・ウェルスのマネジングパートナーを務めるアン・トランは言う。同社が運用する顧客資産は3億5000万ドル(約509億円)。「今は誰もが、どうやって下振れを防ぐかを考えている」

トランプは、他国が長年にわたって不公正な貿易慣行によって米国を搾取してきたと主張し、関税政策を擁護している。しかし、非関税障壁を是正するためだとされる関税の算出方法をめぐっては、エコノミストの多くがはなはだ疑問視しており、貿易協定には関税率だけではない複雑な要素が含まれることが多いと指摘している。

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米投資調査会社モーニングスターの米国担当チーフエコノミストであるプレストン・コールドウェルは、最近の顧客向けメモで、トランプの関税引き上げは米国にとって「自ら招いた経済的破局」だと批評。「高い関税が維持されれば、米国の実質国内総生産(GDP)は減少し、その結果、平均的な米国人の実質的な生活水準も低下する」とつづった。

米国がこのような包括的な関税を導入したのは、約100年前の1930年にスムート・ホーリー関税法が制定されて以来である。この関税法は世界的な貿易戦争を引き起こし、最終的に世界恐慌を招いた。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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