働き方

2025.04.11 09:30

走りながら壊れていく「Z世代がバーンアウトしやすい」3つの理由と休む技術

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2. ワークライフバランスの欠如と職務の曖昧さ

Z世代はワークライフバランスの著しい欠如を経験しており、特に仕事と私生活が混在しがちなリモートワークではバーンアウトに陥りやすく、全体的にウェルビーイングが低下しがちだ。

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リモートワークでは、仕事と私生活を明確に分けるラインがない。そのため、常に対応可能であることが暗に期待されている「常時オン」文化の一部として、勤務時間外にも働くことになることが多い。

仕事と私生活の境界が曖昧なために仕事関連のストレスから解放されることが難しく、常にネットワークがつながっていることによって、やらなければいけないと感じる仕事量が増える。そして圧倒され、疲れ果ててしまう可能性がある。

新しい研究では、仕事と私生活の両方をうまく管理しようと苦慮する中で、ワークライフバランスの欠如がバーンアウトに直結することが示されている。

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研究チームが、Z世代の労働者におけるワークライフバランスや職務のあいまいさ、バーンアウトの関係性を調べたところ、ワークライフバランスが取れていないほど、バーンアウトの程度が深刻なことがわかった。自分の職務や求められていることをはっきり把握していない場合、バーンアウトはさらに深刻化し、精神・感情・肉体的な疲労につながるという。

これらの調査結果から、ワークライフバランスが欠如すると休息や社交、自己管理のための時間がほとんど取れず、モチベーションや生産性に悪影響を及ぼすことがうかがえる。

改善するには就業時間を厳密に決めたり、業務終了後はパソコンの電源をオフにしてプライベートの時間を確保するなど、明確に線引きしなければならない。自己管理や計画的な休息、そして仕事量に関する期待について、雇用主と明確に意思疎通を図ることを優先する。すると、バーンアウトを防げる。

結局のところ、常時対応できることよりバランスを重視する働き方を推進することが、長期的にウェルビーイングと生産性を維持する鍵となる。

3. 他人との絶え間ない比較

Z世代は、現代においてバーンアウトを引き起こす独特の問題、特に浸透しているSNSの使用に起因する問題に直面している。SNSへの投稿などを通じて、同僚や仲間の成果やライフスタイル、成功を絶えず目にすることで、他人と比較する環境が生まれる。その結果、多くの人が自分を卑下したり、非現実的な目標を達成しようとプレッシャーを感じたりする。

専門誌『フロンティアーズ・イン・パブリックヘルス』に掲載された研究では、SNS中毒とバーンアウトを密接に結びつけるものとして、他人との比較を挙げている。他人との比較そのものが直接バーンアウトを引き起こすわけではないが、過剰なSNS利用による他人との比較はバーンアウトのリスクを大幅に高める。このことからSNSユーザーが経験するバーンアウトは 、SNSの利用時間だけに起因するものではなく、絶え間ない比較が感情面に及ぼす影響が主な要因であることがうかがえる。

また、この研究では上への比較(自分より成功していると思われる人と比較すること)と下への比較(自分より成功していないと思われる人と比較すること)の両方がバーンアウトの一因となっていると指摘されている。

興味深いことに、安心感を求めて自分より成功していないと思われる人との比較を頻繁に行う人の方がバーンアウトを経験しやすい。これは下への比較がストレスを和らげるものとなるのではなく、むしろ不満や情緒面での疲弊を増大させる可能性があることを示唆している。

研究者たちは、SNSの利用習慣をコントロールし、オンラインコンテンツと適度な距離を保つことでバーンアウトを軽減できると指摘している。そのための戦略には次のようなものがある。

次ページ > SNSによるバーンアウトの軽減戦略

翻訳=溝口慈子

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