「単一食材」がシェフの歓びをつなぐ
実は、クリュッグでは、クリュッグを人生の歓びとして愛してやまないシェフたちに、アンバサダーの称号を与えている。現在世界で200人ほど、日本でも10数人ほどのアンバサダーが存在する。
その彼らが、毎年、エッグ、フィッシュ、ポテト、レモンのようなシンプルな素材をテーマに、クリュッグ グランド・キュヴェとクリュッグ ロゼに合わせるメニューを考える「クリュッグ 単一食材プログラム」というユニークな試みを行っている。つまり、シンプルなひとつの食材に対して200人のシェフが200通りの解釈をし、200通りのクリュッグの魅力を表現するのである。どうやってこのようなユニークな取り組みを思いついたのかをオリヴィエに尋ねた。
「12年ほど前だったでしょうか、あるとき友人たちと集まり、私はグランド・キュヴェの話をし、友人たちは食材の話を始めた。その中にシェフもいて、じゃあ、こんな素材で、クリュッグに合う料理を作ってみて、といったのです。すると、その中に驚くほど深い考察が見られ、これは面白い、続けていく価値があると、毎年の恒例にしようと決めたのです。クラフトマンシップを遊び心で表現するようなプログラムです」。
当然ながらその活動を通し、自然に同好会のようにシェフ同士のコミュニケーションも深まっていく。それにより、クリュッグへの愛が強くなることは間違いない。日本のアンバサダーの1人、成田一世シェフに、単一食材プログラムのことを聞いてみた。
「アンバサダーに任命されたときには、これで、クリュッグラヴァーである世界のシェフたちと歓びを共有できるのかと思ったら、すごく嬉しかったです。単一食材プログラムでは、ときに海外に行ってクリエイティブなものを発見したり、ローンチの度にそれに合う品を紹介させてもらったり。いわば、ブドウ栽培から醸造までのストーリーを瓶に詰めたクリュッグ。そのストーリーのどの部分に素材を寄り添わせることができるのかを考えることは、味を作る料理人としては、最高の歓びです」
日本人はともすると、クリュッグがどのように造られているのかを勉強し、その美味しさの秘密を分析したがる。
成田氏も初めはそうだったという。ただ、クリュッグはそうではない、エモーショナルに体感することが大切。その経験をお客様に少しだけ提案することがアンバサダーの役目であると思う、と。これからクリュッグに親しんでいきたい人たちへ、どうしたらクリュッグラヴァーに近づくことができるのであろうかと成田氏に聞いたところ、実に腑に落ちる喩えを話してくれた。
「クリュッグと飲み手は母と子のような関係であると感じています。母は子供に対しては、必ず、体にいいものだけを与える。クリュッグもそのような気持ちでシャンパーニュを造り、それをひも解かれた子供は、その回数が多くなるほど好きになっていく。少し離れていても、それを与えられると脳が覚えていて反応し、もっとほしくなる。クリュッグというものは、まさに、そういう脳の歓びなのではないでしょうか」
成田氏にとってクリュッグに親しむということがどういうことなのか、よくわかる話ではないか。脳内の反応が自然に人生の歓びへと変わるとき、すでにあなたもクリュッグラヴァーなのかもしれない。


