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2025.05.02 13:15

共創の連鎖が始まる。アトツギが語り、聞き、踏み出す理由 【TAKIBI&Co.Fes Tokyo#1】

創業1887年の老舗繊維メーカー・三星毛糸の5代目アトツギであり、「中部エリアのスモール・ジャイアンツイノベーター」としても知られる岩田真吾氏。彼が発起人となり、2023年7月に設立されたのが、アトツギとスタートアップの“クロッシング”を生む共創コミュニティ「TAKIBI&Co.(タキビコ)」

「アトツギとスタートアップの共創なんて、ありそうでなかった。だけど、それが実は“未来の日本”を作る火種になるんじゃないか、そんな思いで始めたんです」と岩田氏は語る。

これまでに、老舗企業のアトツギとスタートアップ20社が共創パートナーとして参加。24回のイベントを開催し、すでに34件の共創事例が誕生している。

このコンセプトをより多くの人に届けるべく、2025年2月26日、「TAKIBI&Co.Fes Tokyo」が東京ミッドタウン八重洲で開催された。全14セッションが行われたこのイベントの中でも、特に注目を集めたのが、アワード受賞歴をもつ5名のアトツギたちによるクロストークセッションだ。

本誌編集長の藤吉がモデレーターを務め、スモール・ジャイアンツをはじめ、アトツギ甲子園などの各種アワードの受賞者ら5人が登壇し、「アトツギ×アワード」の価値、そして“語る”ことがもたらす変化について、登壇者たちが赤裸々に語り合った。


アトツギの躍進に効果をもたらすアワード受賞

アトツギたちが自らの事業を新たな次元へと引き上げるために欠かせなかったのが「アワード」の存在だ。

セッションは、モデレーターの藤吉からのこんな問いから始まった。

「スタートアップ向けのアワードは昔からありましたが、ここ最近、アトツギ向けのアワードが増えていますよね。なぜなんでしょう?」

その問いに対し、アトツギ甲子園を立ち上げた山野千枝氏が答える。

山野:これまでスタートアップが一定の評価をされる世界はあったと思うのですが、アトツギの場合、中小企業でもあるので、スタートアップのアワードイベントに行くしかなかったんです。ただ、スタートアップならではの、急成長しなければ、とか上場を目指さなければ、という雰囲気にアトツギは馴染めません。そこで、アトツギがカッコいいと思われるアワードをと、中小企業庁に「アトツギ甲子園」を提案しました。

芦田:アトツギは新規事業を手掛けるにも、経営資源を活かしながらやらなければダメという部分があって、スタートアップのあのスピード感に追いついていけないんです。だからこそ、アワードがあると、我々の目標にもなり、新事業にも前向きになれるので、アトツギにとってはありがたいですよね。

家業に戻ってきて2年ですが、私がやることはなかなか社内で認めてもらえませんでした。新しいことを始めるのは会社にとってリスクですし。従業員からは何をしているのかわからないと言われてしまう。それが受賞したことで、私を見る目もすごく変わったと実感します。

山野:アトツギの新規事業は、社内の人間から見ると遊んでいると思われる問題が根深くあります。それが外部から評価されることで、社内の信頼を得やすくなるんですよね。

壷井:アワードを受賞したことで、社長である私自身の考えや死生観まで明らかになります。一緒にやっていきたいと思う社員と、ついていくのは無理という人が明確に精査されました。事業承継に関してアワードはとても大事だと思いました。

三寺:私はグランプリを受賞して表紙に載ってから、社員のモチベーションの変化はありますが、やはり取引先の信用が一気に変わりました。ベンチャー型事業承継で新しいことをやっている人は、外部の人から評価されにくいんです。「素晴らしい商品だと思う」と言っても専門的な分野でどう評価されているかと聞かれます。その時に「この雑誌を読んでください」と言えることが大きい。

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